緑くんの先制攻撃 ページ18
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夕飯食べて自分の部屋に戻ってから少ししてドアがノックされた。
俺は勉強机に向かって課題しとる最中。
｢忠義ー、入ってもええ？｣
A姉ちゃんや。
｢ええで｣
入ってきた姉ちゃんはさっきの短パン姿。
ほんま目のやり場に困る。
｢あんな、亮ちゃんのことなんやけど…｣
A姉ちゃんからでた亮ちゃんの名前に心臓が飛び出しそうな勢いやった。
こうやって俺に誰かのこと聞いてくるんは滅多にないし…
まさか勢いに押されて亮ちゃんのこと好きになったんちゃうやろな？
｢普段どんな子なん？｣
｢なんで？別に普通やで。｣
｢普通やわからんやんか。
部活の時となんかちゃうとこある？｣
A姉ちゃんは椅子に座る俺のすぐ横に立って、少し屈んで机に肘をついて俺の方を見た。
目線が同じ高さで顔がすぐ近くにある。
俺はもう冷静を保つのに必死。
｢やってな、亮ちゃん私の前やといっつもあんなんやもん。
部活の時見たやろ？｣
俺の気なんか知らん姉ちゃんは亮ちゃんの話を進める。
｢考えてみたら私、そういう亮ちゃんしかみてへんのよ。
せやから普段はどんな子なんかなって気になって｣
頬杖ついて笑顔見せるA姉ちゃん。
ずるいわ。
そんな顔、誰にも見せてほしない。
｢忠義？
話聞いとる？｣
あかん、もう我慢の限界や。
俺は座ったまま、姉ちゃんのこと引き寄せて抱きしめた。
初めてこんな風に抱きしめてしまった。
せやけどもう止められへん。
中途半端な体勢で抱きしめられた姉ちゃんは、少し辛そうやったからさらに引き寄せてすっぽり腕の中に収めた。
｢どうしたの？忠義、なんかおかしいで？｣
事態の異常性に気づいた姉ちゃんが離れようとあたふたし出すけど絶対離さへん。
｢A姉ちゃん、亮ちゃんはあかんで。
絶対あかん｣
｢たぁくん
わかった！分かったから、一旦離れよ？｣
小さい頃よく呼んでくれた呼び名で呼ぶA姉ちゃん。
諭しにかかってんのかもしれへんけど、もう俺子供やないんや。
｢ほんまやな？｣
｢うん。
最初からそない気ないし。
なんかごめんな｣
俺は腕の力を緩めた。
その隙にスルスルと離れて部屋を出ていく姉ちゃん。
弁解することも引き止めることも出来ひんまま、俺は動かれへんかった。
なんで俺たちは姉弟なんやろ…
いい加減しんどいわ。
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年2月28日 18時
