黄色くんはめげない ページ16
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初めは憧れやった。
せやけどいつしか自然とA先輩のこと、ほんまに好きになっとった。
見かけた時は積極的に話しかけた。
相手にされてへんのはわかってる。
せやけどな、そういう相手こそ燃えるタイプやねん俺。
今日も昼休み、廊下を1人で歩くA先輩見かけてそっこー話しかけに行く。
｢なーんや亮ちゃんか。｣
って残念そうやけど、最近ちゃっかり呼び方が錦戸くんから亮ちゃんに変わってる。
そんな些細なことでもめっちゃ嬉しいんやで。
｢A先輩ー今日部活顔出さへんのですかー？｣
｢うん。
やって私名前だけの部員やもん｣
俺の方見いひんで歩くペース速めとる。
はよこの場をやり過ごしたい、んやろか。
でもそんなんで諦める俺ちゃうし。
｢そんなん言うて〜皆A先輩に来てほしがってますよ？
特に俺とか！｣
アピールはちゃんとせな。
｢亮ちゃんは知ってるし、そんなんでは部活行かへん。｣
わざと冷たくしてんのかも知れへんけど逆効果なんわかってんのかな？
スタスタ歩きよるA先輩の前に通せんぼするみたいに立って、顔近づける。
そのままぐいぐい迫れば、顔背けながら後ずさりするA先輩。
バランス崩して後ろにコケそうなったから俺は咄嗟に先輩の腰に手を添えて支えた。
引き寄せたことでさらに距離が縮まる。
傍から見たら、昼間から廊下で何イチャついてんねんってつっこまれそうやな。
近くで見た先輩の顔、やっぱりめちゃくちゃ整ってるわ。
｢A先輩って、こーゆーん慣れてそうで免疫ないんや〜｣
｢こら、先輩をからかうな｣
空いていた右手でおでこにデコピンくらってもうた。
俺が怯んでる間にまた距離を開けて歩きよる先輩。
あー、わかったわ。
廊下の隅の方でこそこそ話しよる女が2.3人。
｢うわー、今度は後輩に手出してんだ。｣
｢ほんまビッチやな。｣
A先輩の噂は入学式に聞いて以降、他でもよう聞いてる。
せやけど、A先輩と直接関わってから、やっぱりそんな人やないって俺なりにわかった。
どうしてそんな根も葉もない噂流すんやろな。
それにA先輩はどうして否定せえへんのやろ？
でもさっきの反応、ほんまかわいかったな。
ますます好きやわ。
いつか振り向いてくれへんかな？
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年2月28日 18時
