天使の誘惑(∞) (ページ2)

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黒先輩ページ2

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｢お前なー用ないなら帰れー｣

放課後の剣道場、自主練してる時にいつも来るこいつ。

大倉A。

男みたいな短い髪に、スポーツバッグ背負ってスカート履いとらんかったら一見男と見間違えるくらいやのに、

めちゃくちゃ顔は整ってて綺麗なんよな。

まぁこいつがいつまでもこの髪型なのには理由があるんやけどな。

俺はそれを知ってる。

数少ない、こいつの秘密を知る1人。

｢横ちょ～冷たい～
今日は軽音部の件、話聞いてくれるって約束やんか～｣

1個下の癖にタメ口使ってくるんはこいつくらいや。

最初からそうやった。

同級生でさえビビってなかなか話しかけてこん俺に怯むことなく普通に接してきたんはAが初めてやった。

いつからか目が離せなくなって、煙たがりながらも俺んとこに来てくれるこいつに気、許してたんは俺の方かもしれへん。

｢A、そう言えば1年に例の弟入ってきたんやな。｣

｢あ、そうそう！
血は繋がってへんのやけどね。
忠義って言うの。
良うしてやって。｣

サラッと家庭事情言うてくれるのは、俺の事信用してくれてるんかな、なんて思うたり。

｢あ、忠義って言えば、今日一緒に帰る約束してたんやった！
ごめんー横ちょまたね！｣

サッと立ち上がり、1度俺にハグしてから走り去っていくA。

いっつも一方的や、でもそんなとこ嫌いになれへん。

俺の事振り回すんは後にも先にもお前だけやで。