弟の緑くん ページ1
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小学校1年の時、おとんが再婚した。
相手の人はおかんとは違って元気な人やった。
向こうにも連れ子がおるらしく、2回目の対面の時に俺らは会った。
1つ年上のお姉ちゃん。
失礼やけど初めは男か思うたわ。
だってな、後ろ刈り上げてんねんで？
おまけに男が履くようなネイビーのパンツにシンプルなシャツ、そら勘違いするやろ？
でも笑顔はめちゃくちゃ可愛かった。
それだけは鮮明に覚えてる。
｢忠義くん？｣
｢うん｣
｢わぁ！これからよろしくなぁ！｣
そう言って抱きついてきよった。
その体が折れてまうんやないかってくらい細くて、なんかわからんけど、
とにかくA姉ちゃんのことは俺が守ったらなって思った。
今思えば、それが恋の始まりやったんかな？
｢たーだーよーしー！
今日から高校やろ？
中学ん時より早いねんから、
のろのろしてたら遅刻すんで？｣
起きてからエンジンかかるまで時間のかかる俺をいつも起こしてくれるのはA姉ちゃんや。
ベッドをバンバン叩きながら大声で俺の事呼ぶから、そらさすがに目ぇ覚めるわ。
｢ん〜もう起きたで｣
｢おはよ！
朝ごはん食べて一緒に行こ？｣
布団をめくればすぐ前にA姉ちゃんの笑顔があって、思わず引き寄せたいのをぐっと堪えた。
こんなん毎朝耐えてる俺、めちゃくちゃ偉いわ。
今日から俺は、A姉ちゃんと同じ高校に通う。
もちろん、A姉ちゃんがおるから高校も決めた。
俺がA姉ちゃんを守る。
その想いに変わりはない。
けどな、A姉ちゃんはきっと何とも思ってないねん。
俺はただの弟。
それ以上でも以下でもない。
外に出るとちょうど幼なじみの丸が出てきたところで、A姉ちゃん見た瞬間にふにゃーって表情が緩む。
気に入らんわ。
丸は1番の友達やけどA姉ちゃんのこととなるとほんま気に入らん。
｢おはよー丸ちゃーん！｣
｢Aちゃんおはよ！
たっちょんもおはよ！｣
｢も！ってなんやねん！俺はおまけか！｣
｢まぁまぁ2人とも、行くで〜｣
俺たちの間をすり抜けて先を行くA姉ちゃんは朝日に照らされてキラキラ輝いて、より一層綺麗に見えた。
｢…天使やん｣
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年2月28日 18時
