錦戸くん4 ページ34
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と言ってくれたものの、それから錦戸先輩と会う機会はぐんと減った。
本格的な受験シーズン。
3年生は自由登校で週に1回しか学校へ来なくなったから。
私の学校生活は、だいぶ静かで平穏になった。
私が望んでいたものだった。
なのに、なんでこんなに寂しいんだろう?
ガラッと開くドアの音に、購買に集まる人の中に、
無意識に錦戸先輩を探してしまう。
これじゃあ錦戸先輩の思惑通りやん。
錦戸先輩の週に一度の登校日。
この日はバレンタイン2週間前、いつもの様に錦戸先輩はやってくると思っていた。
なのに…
いつまで経っても錦戸先輩は現れなかった。
「あれ?A〜、今日錦戸先輩来おへんなぁ?」
昼休み、珍しく一緒にご飯を食べる私に友達が言った。
「みたいやね。」
「いっつも1番にAんとこ来るのにな、
あの先輩のことやから気が変わったんかな?」
「…さぁ」
友達の言葉にムキになってしまいそうになりながらなんとか持ちこたえた。
あんなに何ヶ月も私にアプローチしてきた錦戸先輩がこんなに簡単に引き下がるわけがない。
それに絶対に私のこと落とすって言ってたし、バレンタインまでに自分のこと好きにさせるって言ってたし…
皆が知らない錦戸先輩、いっぱい知ってるんだから。
きっと今日はなにか外せない用事がたくさんあったに違いない。
今更こんな風に思うなんて、錦戸先輩の存在の大きさに気付かされる。
だけどその次の週の登校日も、錦戸先輩は私のところへやってこなかった。
バレンタイン当日。
朝から皆どことなくソワソワしている。
私もその中の1人。
結局、錦戸先輩にチョコレートを作った。
まんまと錦戸先輩の手に落ちたということ。
あれほど拒絶していたのに、いざ居なくなると寂しくて、私も随分と単純だな。
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神八爽蘭(プロフ) - やまーさん» 教えていただきありがとうございます!非公開になってました(;_;)すみません。 (2020年2月14日 22時) (レス) id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
やまー(プロフ) - 渋谷くんの5が抜けてると思います!間違ってたらすみません… (2020年2月14日 22時) (レス) id: a2a6af1ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神八爽蘭 | 作成日時:2020年2月12日 23時