隣の甘い誘惑(紫)3

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他の皆が戻ってきたのは夕方で、遊び疲れてクタクタの様子だった。

ラウールは本当にスノボが楽しかったみたいで嬉しそうに滑ったコースのことを私に話してくれた。

そんなラウールが可愛らしくて頭を撫でると子ども扱いするなと怒られてしまった。





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涼子「疲れてると車酔いしやすいから助手席座ってもいいかな？」






帰りの車は、助手席に涼子さんが先に乗ったことによって、香里奈さんが運転手以外にあとは私と深澤くんと康ちゃんとラウールだ。





ラ「じゃあ康二くん一緒に乗ろ」

向「お、おう。乗るか。」






珍しくラウールが康ちゃんを誘って先に前の方に座ってしまった。

残りは私と深澤くんだ。

ハイエースのシートは運転手席を除いて3列あるわけだから残りは2列、別に一人ずつ座っても問題はない。






深「はい。じゃあ、乗ろうか。」







それなのに深澤くんは私の背中を軽く押して席に座らせると、その隣に座った。

当たり前のように座った。

びっくりしたけど、いつものようにベランダで隣同志で話している時みたいですこし安心した。







香里奈「帰りは混みそうだね。
疲れてたら寝ていいからね。」

ラ「ありがとう。
でも…」

向「さすがにそれはできへんな。」







香里奈さんが言っていた通り高速は渋滞していた。

同じような考えの人がいっぱいいるんだな、と窓の外を眺めているとガタンと車が揺れた。

その拍子にシートに置いたままの手が深澤くんの手に触れる。

一番後ろだし、座席に隠れてるから誰にも見られない。

それでも慌てて退けようとした左手を深澤くんは上から包み込むように握った。

固定をしているから上手く動かせない。

それもあるけど、このまま誰にも悟られぬまま、彼と触れ合っていたかった。

好きでもない女にこんなことをする彼はずるい男だけど、彼がそう思ってくれているように私もまた彼の手に安心してしまうのだ。

できればまだしばらくの間は渋滞していてほしいなんて思ってしまうほどに。

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