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「あのさ…約束してたやつ」
「呑み行こって、あれ？」
「ん。いつにしよっか？」
「じゃあ来週の金曜日は？」
「ん。わかった。
俺いい店知ってんのよ。
そこでもいい？」
「…そこはよく女の子連れていくお店？」
「ううん。連れていかない。
俺だけのお気に入りの場所。」
「そんな特別なところに私も行っていいの？」
「いいよ。」
深澤くんはやっぱりずるい。
まるで私は特別って言われてるみたい。
そんなこと言われたら勘違いする女の子たくさんいるよ？
私はすぐ顔に出ちゃうから、ばれないように月を見上げた。
「月が綺麗だね。」
「うん。綺麗だね。
もう少ししたらもっと綺麗になるかもね。」
「深澤くん全然興味ないでしょ？」
「ふは、ばれた？」
「バレバレ。」
「だって秋はお月見あるじゃん。」
「それは正解だけどね。」
私と深澤くんの間には、どうしても破れない壁がある。
二人の部屋を仕切るこの壁みたいに。
だから私はこの気持ちは言わないって決めてる。
深澤くんがここにいてくれるまでは、私は絶対に彼に気持ちを悟られないようにする。
何よりもこうやって深澤くんと過ごせる時間が大切だから。
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作者名：カフ
| 作成日時：2022年10月11日 21時
