隣の甘い誘惑（紫） (ページ44)

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「ありがとう。
もう大丈夫だよ。」

深「どうせなら部屋の前まで持ってくよ。」

深澤くんは袋を持ったまま階段を登り始めた。

そのあとを追って階段を登る。

「よかったら、一緒にご飯食べる？」

深「あー、今日は遠慮しとく、弟くんと久しぶりでしょ？
姉弟水入らずでゆっくり過ごして？」

「わかった。
じゃあまた今度、康ちゃんも誘って皆でご飯食べよ。」

深「うん。弟くんとも仲良くなれるといいな。」

深澤くんは苦笑いを浮かべた。

さっきのラウールの態度に気づいてたんだ。

さっきラウールが深澤くんについて言ってた言葉を思い出した。

"絶対遊んでる"

確かにそう見えてしまうかもしれないけど、そうじゃない。

私はそれを知っているから。

そういえば、あの日以来深澤くんが部屋に誰かを呼ぶことがなくなった気がする。

女の子と歩いている深澤くんを見ることはなくなったし、話し声も、気配も感じなくなった。

私が気づいていないだけかもしれないけど、でも私の知る範囲では確実に彼の部屋に女性の影がなくなった。

私の言ったことが影響しているのかな？まさかね…

なんてごちゃごちゃ考えていると深澤くんに肩を叩かれた。

深「着いたよ？大丈夫？」

「…うん。ごめんね、ぼーっとしちゃった。」

深「疲れてる？
ちゃんと寝なきゃだめだよ？」

「はーい。
荷物ありがとう。」

深「ううん。
じゃあまたね。」

深澤くんは持っていた買い物袋を私に手渡すとひらひらと手を振って部屋に戻っていった。

手を振り返した後も、しばらく見つめてしまう。