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駅からアパートまでのこの道も2人で話しながら歩いているとあっという間に感じる。
少し遠くの方にもうアパートが見えてきた。
今日からしばらくの間ラウールは私の家で生活することになっている。
ある程度の準備はしてあるけど、ラウールに聞いて必要なものは改めて買いに行かなきゃ。
｢ここがAちゃんのおうち？｣
｢うん。
あんまり広くなくてごめんね？
でもほんとによかったの？｣
｢なにが？｣
｢先に家に帰らなくて。｣
｢だって俺が1番会いたかったのはAちゃんだもん。｣
アメリカ帰りのラウールは恥ずかしげもなくそう言った。
可愛いなと思いながらアパートの階段を登っていると誰かが上から降りてきた。
すぐにわかった。
だってその姿を見ただけで無性にドキドキしてるから。
深｢あ、Aちゃん。｣
ラ｢え、誰？｣
私の名前を呼んだ深澤くんに警戒心丸出しで私に尋ねてくるラウール。
深澤くんに聞かれないか心配でラウールの肩を小突いた。
｢こら。
彼は私の部屋のお隣さん。｣
深｢初めまして。
Aちゃんの隣に住んでる深澤です。
えっと…？｣
｢弟のラウール。
今日留学してたアメリカから帰ってきたの。｣
ラ｢どーも。｣
深｢弟くんか。
じゃあまた。｣
深澤くんは優しく笑うと一気に階段を駆け下りた。
ラウールはその姿を鋭い視線で追っている。
｢ちょっとラウ！｣
ラ｢Aちゃんあーいうのには気をつけた方がいいよ。
絶対遊んでる。｣
｢初めて会った人のことそういう風に悪く言わないの。
ほら、部屋入るよ？｣
ラウールの背中を軽く押して階段を登るように促した。
これから大丈夫かな…
康ちゃんも深澤くんのこと誤解してるままだし…
二人とも深澤くんと仲良くして欲しい。
ラ｢ねぇ、お腹すいちゃった〜｣
｢だと思ってラウの好きなお菓子とか買っておいたから一緒に食べよ？｣
ラ｢まじ〜？Aちゃん最高！
行こ行こ！｣
ラウールはさっきとは違う可愛らしい笑顔で私を急かした。
久しぶりに家に人がいる生活はすごく楽しみ。
だけどさっきのラウールの様子じゃ深澤くんとベランダで話すことはしばらく難しそうだな。
なんて複雑な気持ちだった。
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作者名：カフ
| 作成日時：2022年10月11日 21時
