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「今日は随分ギャルっぽい子でしたね〜」
「うるせぇよ」
彼をからかうようにおどけて言ってみる。
これが今の私に出来る精一杯のポーカーフェイスだ。
彼も笑いながら突っ込んできた。
最近はベランダで話す機会も増えてきた気がする。
ただ私は彼とこういう時間を過ごせるのが好きだった。
夏の夜はまだまだ熱が冷めなくて、時々吹く風が心地良い。
「あ、そういえばさ…」
タバコを咥えながらなにか思いついたようにそう呟いて部屋の中に入っていく深澤くん。
しばらくして戻ってくるとその手には可愛らしいパッケージの缶チューハイ。
「あ、これ…」
「前にAちゃんが気になるって言ってたやつ。
たまたま見かけたから買っといた。」
「ありがとう。お金…」
「いーのいーの。
俺の買うついでだから。」
確かに彼の手にはもう一本缶チューハイがある。
それを私に見せるように顔の横まで持ち上げた後、彼はそれを開け、私の方へ手を伸ばした。
「はい、乾杯。」
「…かんぱい」
コツン、と小さく缶がぶつかる。
彼の買ってきてくれたチューハイは思ったよりも甘かった。
「あ、これおいしい。」
「ほんと？よかった〜
ちょっと味見させて？」
交換しよ、なんて代わりに深澤くんの飲んでいたお酒を渡される。
深澤くんは何も気にする様子もなく、私の飲んだ缶に口をつけ飲み始めた。
間接キスを意識するなんて、中学生かって自分でもツッコミたくなるくらいだ。
ドキドキしながら深澤くんのお酒を一口飲んだ。
「あれ？顔赤い？
もう酔ってんの？」
缶を返したあとそう言って私の頬に触れるから余計に頬が熱を持つ。
慌てて距離を取り髪で顔を隠した。
「なんか今日は酔いやすいみたい。
そのお酒、強いのかな？」
なんて分かりきった嘘をついて。
「あー、たしかに。
ちょっと強いかもね。」
「深澤くんって結構飲めるの？」
「んー、それなりに？
今度さ、呑みに行く？」
「いいの？」
彼と出会ってから1年以上経つわけだけどこうしてベランダで会ったり、帰りに行きあったら一緒に帰るくらいで、改めて出かけようなんてことはしてこなかった。
突然の誘いに胸が高鳴る。
「いいよ。ダメなの？」
「ダメじゃない。行く！
深澤くんと呑みに行く！」
「ふは、んじゃ呑みにいこっか。」
嬉しい予定が出来た。
にやにやしてる私を見て面白いやつって笑う深澤くんのことをやっぱり好きだなって思った。
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作者名：カフ
| 作成日時：2022年10月11日 21時
