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この所、朝晩は少しだけ涼しくなった。
季節が変わる雰囲気が徐々に増していく。
秋は季節の中で一番好きだ。
花粉症もないし、おいしい食べ物がたくさんだし、気温もちょうどいい。
でも何よりも好きなのは秋はなんだか温かい感じがするからだ。
言葉で上手く説明するのは難しいけどとにかくそんな理由で好きなのだ。
深澤くんと出会って2度目の秋、今年は康ちゃんもいる。
深澤くんは月とか全然興味なさそうだけど、一緒にお月見とか出来たらいいな。
深澤くんとベランダで過ごす時間は今の私にとってはすごく大事な時間で必要不可欠なのだ。
そういう深澤くんの部屋には今日も女の人が来ているみたい。
さっき部屋の中に入っていく後ろ姿をたまたま見かけてしまった。
胸あたりまでの髪をやんわりと巻いて短めのスカートを履いている女の人。
今日はその人に優しくする日なんだ。
もう慣れっこだから大丈夫。
遊びなら、心がそこにないなら私は耐えられる。
一瞬で終わる関係よりも私はずっとそばにいられる方を選んだんだから。
まぁ、その前に私は彼にとっては完全に恋愛対象外なのだけど。
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夕飯を食べ終えのんびりしていると隣のベランダの窓がガラガラと開く音がした。
窓を開けていたので、話し声が少しだけ耳に入ってくる。
いや、女の人の声が単純にでかいのかも。
｢へぇ〜ふっかん家ってこんな広いベランダあるんだ。｣
｢ちょっと、ベランダはダメ。｣
｢なんで〜？いいじゃん。
ちょっと涼もうよ。｣
｢ほんとにダメなの。
ここは俺の大事な場所だから。
誰もいれない。｣
｢ケチ〜｣
そんな会話が遠くの方で聞こえてからまたガラガラと窓が閉まる音がした。
テレビもつけていない静かな部屋には再び時計の秒針の音だけが響き始める。
今…大事な場所って言ったよね？
ベランダは深澤くんにとっての大事な場所だから、他の人はいれないって…
じゃあベランダで私と過ごす時間はどうなるの？
その時間があるから大事な場所だったりする？
まさか…そんなことは無いか。
確証はないのにそう思ったら胸の鼓動が大きく波打ち始めて切なくなった。
やっぱり深澤くんのこと、嫌いになれそうにない。
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作者名：カフ
| 作成日時：2022年10月11日 21時
