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「今日はいつもより帰り早いんだね？」
「んー今日は出先から直帰だったからね。」
「なんで今日はスーツなの？」
深澤くんの職場は服装は確か自由だったはず。
だからいつも私服しか見たこと無かった。
「今日は大事な契約があって、それでスーツ。
早く脱ぎてぇ。」
「ふふ、スーツの日に雨って最悪だね。」
「ほんとだよ。
動きづらいし…」
「でも私はラッキーだったかも。
スーツ姿見れて。」
「ん？」
「うんん。なんでもない。」
「なんだそれ笑」
変な風に思われたかな？
心配になって深澤くんの方を見るとその視線に気づいたのか深澤くんもチラッと私の方を見た。
そして再び前を向いてこう言った。
「でも、俺も良かったわ。」
「なんで？」
「ん？だってAちゃんびしょ濡れになんなくて済んだし。」
「え？」
「またこの前みたいに倒れたら大変じゃん？」
「…そうだね。
ありがとう。」
アパートが見えてきた。
早く…早く着いて。
これ以上深澤くんといたら私…もう胸が張り裂けそう。
好きになって欲しくないならこれ以上優しくしないでよ。
そう思ったけどきっと彼は無意識にやっていることだから、責めたところで彼を困らせてしまうのは目に見えていた。
深澤くんのおかげでアパートまで濡れずに帰ることが出来た。
ほんと、いつも助けてもらってばかりだな。
「ほんとにありがとう。」
「いーのいーの。
じゃあまたね。」
深澤くんの左肩が濡れてしまっているのに気づいたのは、彼がドアを閉める直前だった。
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作者名：カフ
| 作成日時：2022年10月11日 21時
