隣の甘い誘惑（紫） (ページ18)

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「もしもし」

「お、A久しぶり〜」

「康ちゃん？
わぁ久しぶり！」

夕飯を食べ終えてソファーで少しゆっくりしている時、電話がなった。

電話口から聞こえてきた優しい声は幼なじみの康ちゃんだった。

彼は今大阪の大手企業で営業をしている。

最後に会ったのは私がここに越してくる半年くらい前だからもう2年程会っていない。

たまに電話はするのだけど、深澤くんとの時間が出来てからはその頻度はめっきり少なくなった。

「あんな、俺…
東京に転勤になったんよ」

「いつから？」

「2週間後。
しばらくそっちおると思うからまたよろしくな。」

「嬉しい！
東京案内するね！」

「頼むわ。
ほなまたな。」

康ちゃんとは家族ぐるみで仲良くて、よく一緒にBBQしたり旅行したりしてた。

そばにいて私のこといつも見守ってくれてた康ちゃん。

私にとっては家族のように大切な存在。

2週間後か…楽しみだなぁ。

家も近かったらいいのに。

また先のことなのにどこに連れて行ってあげようか頭の中でさっそく考えて始めていた。

康ちゃんがこっちに来て、楽しく過ごしていたら深澤くんへの気持ちも少しだけ紛れるかななんて悪い考えが浮かんだりして…

今日も誰か来ているようだ。

深澤くんからの連絡も壁をノックする音も聞こえない。

それなのに私はいつまでも待ってしまうんだ。

キスさえもしてもらえなくても好きなものは好きなのだから。

明日も晴れて欲しいな。

約束のハンバーグはいつにするか、聞かなきゃ。