隣の甘い誘惑（紫） (ページ16)

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「もう大丈夫なの？」

「うん。ご心配おかけしました。」

「ううん。どれどれ。」

そう言って深澤くんは手を伸ばし私のおでこに触れた。

夏なのに冷たい指先が熱もないのに気持ちよくて目を閉じるとおでこを軽く叩かれた。

「…ったぁ」

「そんな痛くないでしょ？」

「ちょっと大げさにした。」

「趣味悪～。
てかもう無理しちゃダメだよ？」

「はーい。」

「ほんとにわかってる？
俺マジで心配したんだからな。」

私の体調を心配してなのか、今日はたばこをいつまで経っても吸う気配のない深澤くん。

たばこ吸ってる横顔好きなんだけどな…とは言えず、前を向く。

「ほんとにありがとう。
最近私深澤くんに迷惑かけてばっかりだね。
今度お礼させて？」

「だから、迷惑だなんて思ってないってば。
俺が勝手にやってることなんだから、素直に甘えてください。」

「深澤くんも困ったら言ってね？
私なんでもするから。」

「なんでも？」

「うん。なんでも。」

「じゃあ…今度ハンバーグ作って？
前に食べられなかったから。」

少し前の私が勇気を出した誘いを深澤くんも覚えていてくれたんだ。

嬉しくて、でも苦しい。

これ以上好きになったらどうするの？

普段から女の子の扱いになれてる深澤くんにとっては、こんなことなんでもないのに。

私みたいなのにとってはすごく大きくて、大事な出来事になる。