隣の甘い誘惑（紫） (ページ14)

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この時期私の仕事は繁忙期。

毎日残業は当たり前、場合日よっては休日出勤もしなければならない。

当然疲れはその日のうちに解消されるわけもなく、溜まっていくばかり…

頑張ってしていた自炊もこの時期ばかりは出来るわけもなく、コンビニには大変お世話になっている。

栄養も偏るし、体調が悪いとは薄々わかっていた。

隣から聞こえてくるやたらと甲高い女の人の声もいつもより耳につく。

苦しくなるから引き出しの奥にしまっておいたイヤホンをした。

ここに来てからはする必要がなかったんだけどな。

身体が弱まっていると心まで弱くなる。

私もまだまだだな。

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やっと仕事がひと段落ついたのはそれから数日後、久しぶりに早く帰ることが出来た。

今日こそはちゃんとご飯作ろう。

疲れてはいたけれど、近くのスーパーに寄って食材を買った。

アパートに着き鍵を開けてドアに手をかけたその時、深澤くんがこちらに向かってくるのが見えた。

姿を見ただけで目の奥がじんわり熱くなる。

弱ってる証拠だ。

「あ、Aちゃん」

「深澤くん、こんばんは。」

「最近帰り遅かったよね？
仕事、忙しいの？」

「うん。でも今日で一旦落ち着いたかな。」

「そっか。よかった。」

深澤くんの笑顔を見て安心して気が抜けたのか、急に眩暈がしてふらっとよろめく。

「えっ？Aちゃん？！大丈夫？」

視界が真っ暗になって遠くの方で深澤くんの声がずっと響いていた。

それもやがて聞こえなくなって私は完全に意識を手放した。