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「おかわりぃ〜」
「お、呑むねぇ。」
私は完全に浮かれていた。
深澤くんのお気に入りのお店で深澤くんと一緒にお酒を飲んでいるっていうことだけで嬉しくて、楽しくて…
いつもよりもたくさんお酒を飲んでしまった自覚はある。
ふわふわとして、ゆらゆら揺れる私を見て深澤くんも楽しそうにしているからいいやなんて思っているうちに限界なんてとっくに越えていた。
夢を見ているような感覚…
身体が宙に浮いてあったかい。
ふんわりとしたところに寝転んで、あったかいものに包まれる。
なんだろう…すごく安心する。
そのまま眠りについた。
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「ん〜…」
目が覚めるとズキンと頭が痛んだ。
眉を顰めながらゆっくり目を開けると目の前に深澤くんの寝顔がある。
一瞬まだ夢の中にいるのかと思うくらい訳がわからなくパニック状態。
でも大きな声を出さなかった自分を褒めたい。
そうしたらきっと彼が起きてしまうから。
お互い服は着ているから何も無かったと信じたい。
深澤くんの寝顔をこんなに近くで見られる日が来るなんて思いもしなかった。
綺麗な顔…今は私だけが独り占めできる。
眠っているのをいいことに彼の頬にそっと触れてみた。
ずっと触れることの出来なかったところに触れて朝から心臓がトクトクと速く鼓動を打つ。
もっと近づいたらキス出来ちゃいそうな距離…
そのまま見つめていると深澤くんが表情を歪める。
「ん〜…」
慌てて手を離そうとしたのにそれよりも先に深澤くんに手を掴まれた。
まずいと思った時にはもう遅くて、深澤くんはまだ眠そうな顔してそれでも優しく笑っていた。
「…おはよ」
「おは…よう…
あの、私…」
「Aちゃん寝ちゃったから、アパートまでおんぶして来たんだけど、鞄の中漁るのも悪いなって思ったからうちに来ちゃった。
ごめんね?」
「いや、謝るのは私の方だよ。
ごめんね…私部屋戻るね。」
「ん、待って?」
深澤くんはまるで抱き枕にするみたいに私に抱きついて寝起きの掠れた声で囁いた。
「今日、休みでしょ?
もうちょっと寝てよ?」
しばらくするとまた規則的な寝息が聞こえてきて、深澤くんは寝てしまったんだと思った。
だけど私はもうすっかり目が覚めてしまって眠れない。
だってこんなに近くに深澤くんがいるんだもん。
無理だよ…
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作者名:カフ | 作成日時:2022年10月11日 21時