37 ページ37
.
片付けを終えてメイク室を出たところで声をかけられた。
なんでこんな時に限って…辰哉がここにいるの？
｢A？｣
｢…なに？｣
｢ちょっと触るよ？｣
咄嗟に後ずさったものの、逆に壁に押し付けられるような形になり、辰哉の綺麗な手が前髪を避けて私のおでこに触れた。
心臓がとくん、と音を立てる。
冷たくて気持ちいい、なんて思ってしまったのを打ち消そうと頭の中でぐるぐる考えていた時辰哉の顔が思いのほか近くにあることに気づいた。
それに驚いてバランスを崩し尻もちをついてしまう。
その後を追うように辰哉がしゃがんで私の肩を抱いた。
｢今日ずっとしんどそうだと思ったら…やっぱり熱あんじゃん。｣
｢これくらい平気だもん｣
｢平気じゃねーだろ？
目黒には言ったの？｣
｢大丈夫って言った｣
｢なんでよ。
まぁここじゃ無理ないか｣
辰哉は当たりを見回し苦笑いをした。
そして私の体を支え立たせてくれた。
その優しさに戸惑ってしまう。
いつもみたいな悪態がつけないのは体調のせい…きっと。
｢だって、私は蓮より年上だし、支えなきゃいけないから。
心配かけたくない。｣
思わず本音が零れてしまった。
辰哉相手に何言ってんの。
そう呟くと辰哉は小さくため息をついた。
｢あのさ、年上だろうが年下だろうが彼女に頼られて嬉しくない男なんて居ないの。｣
｢でも…｣
｢そうやってお前は頑張りすぎるとこあるから、少しは彼氏の前で気抜けよな。
俺の時みたいに。｣
｢…｣
｢今日はもうやることほぼ終わったんだろ？
早めに帰って寝ろよ？
ほら、これ飲んで暖まれ。｣
辰哉は小さく手を振って去っていった。
"俺の時みたいに"
確かにずっと気を張っていたのかも。
いつのまにか人に甘えることが下手になってしまった。
辰哉には本当に調子を狂わされる。
私の手にはあの日と同じレモンティーが置かれていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1019人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カフ(プロフ) - 柚姫さん» ありがとうございます！ここから結構展開してくると思います！💜くんや🖤くんの気持ちがどう動くのかお楽しみ頂けたら幸いです！ (2022年4月5日 0時) (
レス) id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
柚姫(プロフ) - 更新お疲れ様です。じっくり読ませていただきました。これからの展開が楽しみです。味方がいない状況は辛いのですが、💜さんがいてくれた事にほっとしました。ありがとうございます。 (2022年4月2日 8時) (レス) id: 31ed921faf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カフ
| 作成日時：2021年6月8日 21時
