39 ページ39
.
｢もう迷うなよ？
あとセクハラで訴えるのもナシだからな｣
なんて冗談ぽく言ったのは、彼が平常心を保つためだったのかもしれない。
｢彼氏でしょ？
セクハラなんてありえません。
むしろ…｣
｢ん？｣
｢たくさんしてくれると嬉しい…｣
ボソッと本音を呟くとさらにぎゅうぎゅうと抱きしめられて深澤さんがため息を零す。
｢ここ会社。
あんまかあいいこと言わないで。｣
会社で抱きしめてるの誰よ？って突っ込みたかったけどそこはこの甘い空気に免じて止めておいた。
｢ねぇ、A｣
｢なんですか？｣
｢…キスしていい？｣
｢恥ずかしいから聞かないで｣
｢ふは、ごめんごめん。
じゃ遠慮なく。｣
そう言って深澤さんは初めて私にキスをした。
触れるくらいの優しいキス。
これ以上すると離れられなくなりそうだからって突然体を引き離される。
｢別に止めなてもいいのに…｣
｢だから！
あんまそういうかあいいこと言っちゃダメなの｣
耐えてる俺の身にもなって。って困ったように言うからおかしくてつい笑ってしまった。
｢Aめっちゃ余裕じゃん。
帰ったら覚えとけよ？｣
さっきまでと違う、色っぽい声でそう囁かれる。
胸がドキドキする。
これが好きって証拠なの。
.
恋愛なんて全然分からなかった。
人を好きになることがどういうことかも。
でも全部全部あなたが教えてくれた。
これから先、また想いがすれ違うこともあるかもしれない。
だけどこの好きって気持ちがあれば乗り越えられる気がする。
やっぱり私がそばにいたいのは…
抱きしめて欲しいのは…
深澤さんたった1人だよ。
.
｢そうだ、プロジェクトおわったらご褒美ください！｣
｢いいよ。何が欲しいの？｣
｢んー、頭撫でてもらいたいです｣
｢え、そんなことでいいの？
いくらでもやってあげるよ｣
そう言って深澤さんは私の頭の方に手を伸ばしてきた。
その手をわざと避けてみせる。
｢その時は、特別なのください。｣
｢やばい、かあいい｣
行き場を失った手はゆっくりと降りてきて今度は私の手をしっかりと掴んだ。
｢もう離してやんないから｣
｢はい｣
見つめ合って頷いたあと、私もぎゅうっと繋いだ手を握り返した。
いつの間にか雲の隙間から太陽が顔を覗かせている。
大嫌いだったこの時期も、これからは深澤さんと結ばれた思い出があるから好きになれる気がした。
..end
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2575人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カフ(プロフ) - namanaさん» コメントありがとうございます！もどかしいですよねヽ(；▽；)ノこれからも楽しんで貰えるよう頑張ります！ (2021年1月23日 10時) (
レス) id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
namana(プロフ) - ちょっと、ふっか黙って話を聞いてほしい！！笑 更新楽しみにしてますね(*´｀*) (2021年1月22日 18時) (レス) id: b11e04c615 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カフ
| 作成日時：2020年12月12日 12時
