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｢はい、乾杯！｣
コツンと音を立ててジョッキがぶつかる。
深澤さんは美味しそうにビールを飲んだ。
｢やっぱり仕事の後のビールはうまい！｣
｢…ですね｣
｢でもAと飲んでるからもっとうまい。｣
そう言って私の顔をまじまじと見た深澤さん。
きっと私の反応を楽しんで、わざとそういうことを言ってる。
だって顔が企んでる顔してる。
｢またそういうこと言って…｣
｢ほんとだし｣
懲りてない様子の深澤さんはまたビールに口をつけた。
｢そういえばこの前のエレベーター止まっちゃったのってあの辺りの停電が原因だったらしいよ｣
｢そうだったんですか…｣
深澤さんの言葉であの夜のことを思い出し、胸がきゅうとなった。
翔太が握っていてくれた手、触れ合った肩が一気に熱を持ったように感じる。
｢…Aどうした？｣
｢いえ、何も。｣
｢ふーん｣
気を紛らわすために一気にビールを飲んだ。
今きっと深澤さんの目を見たらなにか探られそうで、私は届いたつまみを取り分けるのに集中した。
｢でも災難だったよな。
Aに何も無くてよかった。｣
｢ありがとうございます｣
｢あとさ…｣
深澤さんがジョッキを持つ私の手を止めるように握った。
深澤さんが真剣な顔をしていて、言いたいことが何となくわかってしまう。
｢Aは目黒のことどう思ってんの？｣
逃がさないように、それでも優しく握られた手はしばらくすると離されたけれど、じんわりと温もりが残った。
別に目黒くんのことは可愛い後輩だな、って思うくらいで、押しの強い彼に断れない私が悪いのだけど…
なんて答えるのが正解なのかな？
｢ただの後輩です。｣
迷った挙句、短くそう答えた。
｢…ただの、後輩ね。｣
含みを持たせた言い方をした後、1本いい？と私に確認して深澤さんは胸ポケットからタバコを取りだした。
深澤さんがこのお店を選ぶのは今では数少ない喫煙席のある居酒屋だから。
吐き出された煙が天井へと昇っていく。
｢Aはさ、もっと危機感持った方がいいよ｣
そういえば目黒くんにも同じようなことを言われた。
自覚がないから何を気をつけたらいいかわからない。
考えながら首を傾げて深澤さんを見ると、
｢そーゆーとこ｣
と少し怒ったように言った。
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カフ(プロフ) - namanaさん» コメントありがとうございます！もどかしいですよねヽ(；▽；)ノこれからも楽しんで貰えるよう頑張ります！ (2021年1月23日 10時) (
レス) id: 7548cab30a (このIDを非表示/違反報告)
namana(プロフ) - ちょっと、ふっか黙って話を聞いてほしい！！笑 更新楽しみにしてますね(*´｀*) (2021年1月22日 18時) (レス) id: b11e04c615 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カフ
| 作成日時：2020年12月12日 12時
