13 横山SIDE ページ13
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少し時間をずらして席に戻った。
するとさっきの女子社員は席におらんくて、代わりに茉莉香ちゃんが座ってちびちび酒飲んどった。
前におった宮内もおらへん。
Aは相変わらず男性社員に囲まれとる。
その中に宮内も入っとった。
やっぱりA狙いやったんやな。
Aを人睨みして、俺はジョッキに残ったビールを一気に飲み干した。
｢横山さん、お酒強いんですね｣
茉莉香ちゃんがにこやかに話しかけてきた。
そういう茉莉香ちゃんも、顔色ひとつ変わってへんで。
｢茉莉香ちゃん…？もお酒強そうやな｣
｢あ、名前。
覚えてくれたんだ、嬉しい。｣
｢さっき呼ばれてたやろ？｣
茉莉香ちゃんは終始にこにこしていて、俺は正直感じのええ子やなって思った。
夜も深まって、チラホラ二次会の話が出だしたところで、店を出る。
｢二次会はカラオケに行こう｣
と部長もノリノリや。
近くにおるAはもう完全に出来上がっとる。
何とかして違和感なくAを帰さな。
これ以上呑ませたらほんまやばいわ。
｢Aさん、だいぶ酔うてますね。
大丈夫ですか？｣
あえて皆に聞こえるように大きな声で話す。
｢ん？ああ、だいじょ…｣
ってAが言いかけたところで目配せして圧をかける。
もうこれ以上はあかん。
｢…ばないです〜。
私はこれで失礼しますね。｣
Aはまずいと思ったのかすぐに言葉を変えた。
まだ俺の合図を受け取れるくらい余裕があることにほっとした。
｢え〜次行きましょうよ〜｣
｢主役が帰っちゃったらつまんないー｣
男性社員は口々に言いよる。
｢ごめんなさい。
ちょっと呑みすぎたみたい。
また次の機会に｣
｢1人で帰れますか？｣
そんな中割って入ったのは宮内やった。
もしや送ってこうとか思ってる？
｢うん！
そんなに遠くないし、ゆっくり夜風にあたりながら帰りまーす｣
Aは一礼して、皆と反対側に歩き出した。
まだ若干足元がふらついている。
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作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年5月19日 8時
