今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:27,642 hit
小｜中｜大
7 横山SIDE ページ7
.
｢あ、せや！
鍵、渡しとくわ。｣
俺は思い出したように、玄関に向かった。
確か下駄箱の上の引き出しに、去年まで付き合うてた元カノの合鍵があったはず…
それを手にして戻るとAに手渡した。
受け取った合鍵をジロジロ見るA。
鍵にはちっちゃいうさぎのストラップがついとった。
明らかに女がつける物。
しまった思うた時にはもう遅くて、
｢これもしかして〜、元カノに渡してたやつやろ？｣
Aはニンマリ顔で俺を見た。
は即効で当てられたことに、恥ずかしくなった。
｢いらんこと言うな。｣
｢図星だ〜裕、顔赤いで？｣
Aはいっつもこうやって俺の事からかう。
それは弟にするみたいに、俺の反応を楽しむ。
ほんま悪いヤツ。
｢そういえば、今日宮内くんに誘われてたね
｢悪い、今日は先約があって｣｣
Aは俺の真似をした。
そんでまたクスクス笑う。
｢先約は先約やろ？
お前が先に夕飯作っとく言うたやんか｣
｢ふふっ、そうやけど。
なんか嬉しかった。｣
そして時々、こんな風にまるで恋してるみたいに微笑むんや。
｢なんやねん｣
｢せやけど今度は私の事なんて気にせんで呑みに行ってええからね｣
｢おん。
てかA、家探せよ｣
｢はーい｣
ほんまに聞いとるんか聞いてへんのかわからん生返事。
まぁ、しばらくはこんな生活も悪くないかな、なんて少しだけ思うた。
ほんの少しだけな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：神八爽蘭
| 作成日時：2020年5月19日 8時
