〜第一章〜 その3 ページ4
「うわ…寒いなァ。
少し火羅を離れるだけでこうだ。
なぁ、サイリウム。」
サイリウムと呼ばれた巨体の鳥を連れて、ストリームは口をとがらせた。
ここは火羅から少し外れた平野の中だ。
ふいにストリームが顔を上げた。
そこには鳥の大群がおり、皆火羅へ向かっているようだった。
「あっちは初冬を迎えたな…どうりで風が冷たい。
鳥も多いし。」
南鳥は全て、厨が初冬を迎えると同時に火羅へとやって来る。
なのでこの時期、火羅には鳥が増えるのだ。
それを見届けて、彼女はニヤリと笑った。
「出発日和だ。」
呟いて、手を高々と挙げた。
「体感温度30℃!
風は追い風…天気は良好!以後それが保たれると予測!!
いざ、ソーシスオブライフへ!!」
その言葉を合図に、サイリウムが翼を広げ駆け出した。
「よし来た!」
元気よく叫んで、ストリームはサイリウムに飛び乗った。
力強い足音から空を切るような音に変わり、
サイリウムはストリームを乗せ飛び立った。
ぐんぐん速度を上昇させると、草が踊るように揺れた。
「いい調子だ!
お主なら1週間で到着できるぞ!」
彼女の笑い声が平野に響いた。
それに返事をするように、サイリウムが甲高い声で鳴いた。
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作者名:松壱 | 作成日時:2017年10月28日 17時