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転生前は暗殺者 ページ2
そこは、ごく平凡な下級貴族の屋敷であった
あたりの町は冒険者の賑わいで騒がしい
しかしその屋敷だけは、誰もいない空き家のように静かだった
屋敷の裏に気配を探っている一人の青年
青年は闇に溶け込むかのように静かに屋敷に入っていく
青年の向かった先は寝室だった
ここの一家は家族全員同じ部屋で寝るのを青年は知っていた
家族の一人を青年は起こした
なぜ起こしたのか
青年は彼の親友だった
今宵青年は彼ら家族を殺す
最後のお別れでも言いたかったのか
はたまた殺したくなかったかのか
青年は彼に向ってこう言った
「僕は君を殺しに来た」
彼は青年の事情を知ってか知らずか
「そう、依頼でもされたのかな」
冷静に優しさの籠った表情でこう言った
「ごめん」
青年はこれ以外彼にかける言葉が見つからない
この一家は身寄りのない青年を引き取り
あまつさえ本当の子供のように彼と同じように育ててくれた
彼もまた青年に対しめいっぱいの愛を注いだ
「いいよ、僕を殺して」
彼は自分がこれから殺されるにも関わらず
笑っていた
青年は心が引きちぎれそうだった
「な、」
青年は「なんで」とでも言いたかったのだろう
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作者名：ゆうん | 作成日時：2021年3月10日 23時
