3 ページ31
.
コップの水をぐいっと飲み干すと、少し落ち着いたみたいだ。
｢大野さん、次のデートは私が計画しても良いですか？予定を考えるの、好きなんです｣
｢え、…お任せしても良いんですか｣
｢もちろん！型にはまらないで、得意な方がやれば良いんです。せっかくのデートですから、二人で楽しく過ごせるようにしたいですね｣
彼女の顔には明るさが戻り、瞳がキラキラしている。それを見て、僕もほっと息を吐いた。
そのまま会計を済ませて、店を出る。
｢…良かったです。大野さんに嫌われたんじゃなくて。朝早くからテンションが高かったから、暑苦しかったのかなって思ってて｣
｢そんなことないです。僕との時間をこんなに楽しみにしてくれてたんだって…嬉しかったです｣
確かに、櫻井さんの期待に応えられるかという点でのプレッシャーは感じていた。けれども�狷鷽佑燃擇靴�過ごす�瓩箸いμ榲�だけを見失わないようにすれば、上手くいくような気がしてきた。
｢このあとは、イルカのショーがあります｣
｢楽しみです！…でも、会場には人がたくさん居そうですね｣
｢そうですね｣
｢……迷子になるといけないので、手を繋いで貰えませんか｣
差し出された掌に僕のそれを重ねると、するりと指が絡まる。心臓が飛び出るほどの衝撃だったけど、なんとか平静を装った。
｢早く行かないと、良い席取られちゃいますよ！｣
楽しそうな彼女に腕を引かれながら、イルカの水槽へと向かう。なんとも言えない、恥ずかしくて嬉しい、暖かな気持ちが心を満たしていった。
fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
野乃子(プロフ) - きよさん» ありがとうございます。次のお話で、カフェで働くきっかけとなる出来事が起こります。智さんがしっかり守ってくれているので、ぜひ読んでみてくださいね。 (2022年8月1日 22時) (
レス) @page50 id: b6882cb73c (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - 野乃子さん、お話しありがとうございます。初デートからプロポーズまでの二人が純真すぎる！大好きな二人です。だからこそ相葉ちゃんのカフェでなぜ働く事になったのでしょう？まぁ、何があっても智さんが守り抜くんでしょうね！次のお話しを楽しみに待っています。 (2022年7月30日 16時) (レス) @page50 id: 93930afffe (このIDを非表示/違反報告)
野乃子(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます。私もこの二人が大好きなんですよね♡おそらく次回の更新で移行になると思いますが、移行先でも読みに来てくださると嬉しいです。 (2022年2月6日 0時) (レス) @page47 id: b6882cb73c (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - はじめまして、毎話キュンキュンしながら拝読しています！野乃子先生のお話はどれも好みで大好きです！特にこの2人が大好きで、これからも2人の軌跡が読めるのを楽しみに待ってます！ (2022年2月2日 0時) (レス) id: 3663dc8009 (このIDを非表示/違反報告)
野乃子(プロフ) - きよさん» そうなんです、探偵だったんです。短編集では長さの関係上カットしていたのですが、せっかくなので公開することにしました。いつもコメントありがとうございます。次のお話も楽しんで頂けると嬉しいです。 (2022年1月26日 0時) (レス) @page17 id: b6882cb73c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：野乃子 | 作成日時：2022年1月25日 0時
