番外編。 ページ46
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今日は2/14。世に言うバレンタイン。
「あ、あの…赤葦くんこれ良かったら受け取って下さい!」
「しんじくん、これどうぞ!」
梟谷学園高校二年で2トップのイケメンは、去年と引き続き2トップでチョコを受け取っている。
「今年も凄い量だね、京治。紙袋持ってきて正解だ」
赤葦の両手から下がっている予め持参しておいた紙袋には、袋の口から姿が現れるくらいのチョコを始めとする贈り物がパンパンに詰まっていた。
「紙袋持参ってのが既に厭味ったらしいよな!」
「そんなこと言われても……」
「俺らに見せつけてんっスかね?喧嘩売ってるんっスかね?」
妬みから部活では先輩にネチネチと絡まれる赤葦。
――折角格好いいのに、そういうことするからモテないんだろ……
そう思う赤葦ではあったが、言ってしまうほど愚かではない。もっと面倒くさくなるのは自明の理だ。
毒づくのは内心に留めておき、赤葦はマッハで着替えて少女の元へ向かった。
「うん……俺そんなに甘いの得意じゃないんだけどね」
「残念!イケメンに産まれた宿命だよん」
話しながら歩けば、体感的にはすぐに少女の家に着いてしまう。
「じゃ、ちょっと待っててね」
「うん」
少女は只今も早々に、タタタッと家の奥にすっ飛んでいく。赤葦は少女が再び戻ってくることを柄にもなくソワソワと浮かれ気分で待った。
「へい、お待ちー!」
少女が一つのタッパを持って戻って来た。
「はい、ハッピーバレンタイン!」
「今年もありがとう」
そう言って少女が笑顔で手渡すタッパを赤葦は受け取った。中身は菜の花の辛子和えだ。中学校に上がってからは、毎年菜の花の辛子和えを贈っている。チョコばっかじゃ飽きるだろうし、菜の花は丁度旬だから、という少女独特の考えによるものだ。
「ありがとう。タッパは明日返すよ」
「了解!じゃ、また明日ね」
「うん、また明日」
多量のチョコがある分赤葦の総重量的には重いのだが、それを感じさせない軽い足取りでもう少しの家路を辿る。
今年も少女は自分以外の男子には義理チョコも渡していない。自分へのそれは習慣化されたから感が否めないし、最早チョコじゃなくて菜の花の辛子和えである。
だが、赤葦を幸福感で満たすには十分だった。
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たなぱし(プロフ) - ごくえんろうさん» わ、ヤンデレ牛島君(なんか闇金ウシジマくんみたい←)もご覧になっていだだけてるんですね!!嬉しいです^^牛島君のヤンデレは他ではあまり見かけませんよねー。自分得で書かせていただいてます笑 (2017年3月18日 7時) (レス) id: 8222ef3129 (このIDを非表示/違反報告)
ごくえんろう(プロフ) - たなぱしさん» 私は真っ黒黒葦派です(笑) ヤンデレ牛島君も読ませていただきました! 赤葦君も牛島君も好きなので嬉しいです(*´艸`*) (2017年3月18日 0時) (レス) id: 82fd8ee9bf (このIDを非表示/違反報告)
たなぱし(プロフ) - ごくえんろうさん» たなぱしとしては赤葦君好きが増えて何よりです!ただ、続編では赤葦君の印象がガラリと変わってしまうので……ちなみにたなぱしは真っ白葦も真っ黒葦もイケるクチです。もう赤葦君なら、なに葦でもイイです。赤葦に幸あれ(真顔)← (2017年3月18日 0時) (レス) id: 8222ef3129 (このIDを非表示/違反報告)
たなぱし(プロフ) - ごくえんろうさん» ごくえんろうさん、コメントありがとうございます!うわああ、本当ですね!最後の最後に締まりませんね!←これは圧倒的誤字ですね。指摘ありがとうございます!!! (2017年3月18日 0時) (レス) id: 8222ef3129 (このIDを非表示/違反報告)
ごくえんろう(プロフ) - ストーリー、とても面白いです!赤葦君をこの小説で好きになりました! あの、私と幼馴染と車内で。の最後らへん、『赤葦はスルッと』の部分なのですが、少女戸になっています。誤字ではないでしょうか。長文、失礼しました。 (2017年3月18日 0時) (レス) id: 82fd8ee9bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たなぱし | 作成日時:2017年2月8日 21時