cap6 ページ7
[次の満月の夜17:00。
闇夜の晩餐にご招待いたします。
お送りした服を着てお待ちください。
月の兎が貴方をお迎えにあがります。]
「月の兎ってなんだよ…」
手紙を呆れ混じりに見ながら言う。
無駄に凝った招待状だ。
細部まで美しい花々の絵が施された手紙。
こんなものを送りつけてくるなんて、意味が分からない。
やはりあの人は謎が多い。
「彼が相手を誘うときに使う自分自身の別称よ」
「何が由来なんだ、それ…」
「見知らぬ誰かにそう言われたんですって」
見知らぬ誰かって誰だよ。
っていうか、その人は何で三郷さんのことを月の兎なんて言ったんだ?
「…そういえばお前、三郷さんのこと怖がらないんだな」
「当たり前でしょ?彼は組織の裏切り者を何人も助けてきた人なんだから」
「裏切り者を助けた?何でそんなことを…」
「さぁ、何ででしょうね」
灰原は肩を竦め、手紙を机の上に投げた。
同じ内容が書かれている。
違うのは、お久しぶりです、の一文だけ。
「どちらにせよ、それの内容が真っ赤な嘘だということに変わりないわ」
灰原が手紙に一瞬視線をやる。
そして、ピシリと体を硬直させた。
「おい、灰原。どうかし___」
「___部屋に入ったのに気づかないなんてね。ま、予想通りだけど」
高くもなく低くもない声。
それは数日前に聞いたばかりの声だった。
「それにしても…家に入った瞬間に気づいてほしかったよ、江戸川コナン君?」
「三郷さん…⁉何で此処に…‼」
「鍵が空いてたので勝手にお邪魔しただけさ。無用心だなぁ、全く」
勝手にお邪魔しただけ、って…。
不法侵入だぞ…。
「それにしても…APTX4869にこんな効果があるとは思いもしなかったよ」
「どの口が言ってんのよ…研究所の最高責任者の癖に…」
マジかよ、と思わず呟いてしまった。
慌てて口を噤んだ。
聞こえていなかったようでホッとする。
「君も随分と可愛くなったね、シェリー。前は美人さんだったけど」
灰原が複雑そうな顔で三郷さんを見上げている。
三郷さんはそんな灰原を見てニコニコと笑った。
「…さて、お遊びはこの辺にして本題に入ろうか」
そう言う直前、三郷さんは急に笑顔を消した。
何処か闇を感じさせるその顔が、俺には堪らなく恐ろしいものに見えた。
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新羅(プロフ) - ありがとうございます、頑張ります。 (2016年10月30日 7時) (レス) id: 37088600a5 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - これからどうなるか楽しみにしてます。更新頑張って下さい。応援してます。 (2016年10月29日 22時) (レス) id: cb3c3b9b5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:新羅 | 作成日時:2016年9月4日 10時