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cap3 ページ4

携帯の電源を切り、鞄に仕舞う。
しゃがんで目線を合わせる。
「君は…確か、銀行にいたよね?」
「うん!お兄さん凄かったね!何処で覚えたの?」
もしかして、怪しまれてるのだろうか。
いや、こんな子供に僕らのことが知られているなんて、あり得ないか…。
少し警戒し過ぎかな。
「僕は元警部だったからね…」
「お兄さん、警察の人なの?」
可愛らしく首を傾げて聞いてくる少年。
やっぱり警戒し過ぎだな。
こんな子供に組織のことが知られてたら色々終わってるしな。
「昔はね。脚に被弾して辞めたんだ。だから今は警察の人じゃないよ?」
「ふーん…そうなんだー」
「うんそうだよ…っ⁉ちょっと御免ね」
電話が鳴り、驚きで肩が跳ねた。
鞄から携帯を取り出す。
画面には〈ジン〉とあった。
立ち上がり、路地裏に入る。
「何か用?僕は今有給中なんだけど」
『ご機嫌斜めか、ロゼ。まぁいい…薬は何処だ?」
この質問は何回目だろうか。
まぁ、一週間に一回場所を変えているし、仕方ないのだが。
「何に使う薬?殺し?拷問?」
『殺しだ』
携帯の向こうで笑っているジンの顔が目に浮かぶ。
本当に殺しが好きだな…。
「それなら部屋に入ってすぐ左の棚の一番上にある白いケースの一番右」
『分かった…じゃあな』
無機質な機械音が聞こえる。
いつものことだと割り切り、携帯を鞄に仕舞う。
路地裏から出ると同時に下を見る。
顔を青ざめさせている少年の頭に手を乗せた。
「盗み聞きは良くないよ?ねぇ、何処から聞いてたのかな?」
少年が息を呑む。
此処では話してくれないか…。
「場所を移動しようか、少年。死に場所ぐらいは選ばせてあげよう」
少年は、悔しそうに顔を歪めた。

最悪だ。
首を突っ込みすぎた。
隣を歩く20代前半と思われる男。
しっかりと手は繋がれており、逃げることは間違いなく不可能。
元警部だというから油断したのかもしれない。
一見、人が良さそうなこの男。
よく見ると隈ができている。
脚に被弾したと言っていたが、特に異常はなさそうだ。
一体何者だ、この男…。
「此処か、君が選んだ死に場所は」
「…うん、そうだよ」
今の時間帯なら昴さんがいる筈。
とりあえず、この男の正体を聞き出すことから始めるか…。

中々広い洋館だった。
工藤という表札。
工藤といえば、何年か前にジンが殺った高校生探偵も工藤だった筈。
そんなことを考えていたときだった。
「…ねぇ、お兄さん何者なの」
隣にいた少年が、口を開いた。

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新羅(プロフ) - ありがとうございます、頑張ります。 (2016年10月30日 7時) (レス) id: 37088600a5 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - これからどうなるか楽しみにしてます。更新頑張って下さい。応援してます。 (2016年10月29日 22時) (レス) id: cb3c3b9b5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:新羅 | 作成日時:2016年9月4日 10時

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