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cap10 ページ11

頬張っていたハムサンドを飲み込む。
「このハムサンド美味しいですね」
「それは良かった」
珈琲を飲みつつ外の子供たちを見る。
腹も膨れたことだし、もう帰るとしよう。
席を立ち、会計を済ませて外に出る。
何故かバーボンもついてきたが、無視しておくとしよう。
「あれ、三郷さん⁉何で此処に…」
「此処でお昼を食べていてね。君たちは…」
小学一年生と思われる三人の顔を見る。
新一の同級生だろうか。
シェリーがいないのが少々残念だが。
…まぁ、組織の幹部がいるところに好き好んで来るわけないか。
「吉田歩美です!」
「小嶋元太だ!」
「円谷光彦です!」
元気良く自己紹介をする小学一年生。
元気いいなぁと思いつつ微笑んだ。
「僕は三郷蓮。一応、警部をしているよ」
クス、と笑いながらそう言うと、子供たちは凄い!と歓声をあげた。
新一には少し睨まれてしまったけれど。
「その若さで警部ですか…凄いですね…」
「そうですか?ありがとうございます」
所謂、営業スマイルを浮かべる。
表情筋が攣りそうだ。
「ところで、何をしていたんです?」
「あ、大尉君の飼い主探しをしてるんですが…もう候補者が三人もいるんですよね…」
困り顔でそういうポアロの女性店員さん。
元太君が雑誌を見せてくれた。
ポアロの特集らしい。
[この店のお得意様の三毛猫の大尉君と美人店員の梓さん]と書いてある。
この人、梓っていうのか。
「候補者って、そこにいる二人と…店内にいるお祖母さんですか?」
「えぇ…そうなのよ」
再び困り顔でそう言った梓さん。
「…とりあえず、なかに入りませんか?通行者の邪魔になりますし…」
「そうですね!」
ポアロのなかに入る。
猫の飼い主探し。
少々面倒臭いが、仕方あるまい。
首を突っ込んだのは僕の方だしね。
それにしても、新一は厄介事ばかり引き寄せる。
銀行強盗のときも新一はいた。
彼は何かに憑かれているんじゃないだろうか…。
例えば、そう…死神とか。
…やめておこう、本当になったら困る。
新一の方を見ると、何かを考え込んでいるようだった。
飼い主候補たちが言い争いをしている。
「普通じゃねぇんだよ…」
新一のその言葉がやけに耳についた。
大尉という猫はいたって普通の猫だった筈だ。
…いや、まさか。
「コナン君、大尉という猫は、もしかして雄なのか?」
「…そうだよ」
僕は静かに溜息を吐いた。
「面倒臭いことになりそうだね…」
僕がそう言うと、新一はコクリと頷いた。
新一の顔は、何処か楽しげだった。

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新羅(プロフ) - ありがとうございます、頑張ります。 (2016年10月30日 7時) (レス) id: 37088600a5 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - これからどうなるか楽しみにしてます。更新頑張って下さい。応援してます。 (2016年10月29日 22時) (レス) id: cb3c3b9b5b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:新羅 | 作成日時:2016年9月4日 10時

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