狐につままれた (ページ48)

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「すまん、高坂さん、待ったか？」

ベンチに座ってから数分後、北先輩の声が聞こえた

ナンパでもされると想像しただろうか

私はされたことが1回もない、安心したまえ。

今終わったところです、と言おうとして顔を上げると北先輩の手にはあるものがあった

「高坂さん、さっきめっちゃ見てたやろ？食べたいんや思って買ってきたんやけど…」

北先輩が持っていたのは例のクレープだった

『え！？』

「違ったか？」

『い、いえ！気になってました！！』

私が素直に言うと、北先輩は安心した顔をした

「前チョコ好きって言ってたの思い出してな。チョコバナナにしたんやけど…」

『私、チョコバナナ一番好きです！！』

私はワッフルでもパンケーキでも、絶対にチョコとバナナがついているものを頼むのだ

それくらいチョコバナナが大好きである

「それを聞いて安心したわ。」

北先輩は抹茶味で、先輩らしいなと思った

『いただきます…』

結果的にそのクレープはとても美味しかった

『お、おいしいい！！』

私は目を輝かせて言った

『何て言えばいいんでしょう…生地が…』

「もちもちしてて食感がええな。」

『それです！』

「高坂さん、抹茶も美味いで。食べてみるか？」

北先輩はそう言って私にクレープを差し出した

私は驚いてしまった

(これは…間接キス！？いや、北先輩は食べてさせてあげたいっていうだけだよね…)

こんなことを少しでも考えてしまった私が恥ずかしい

『じゃあ…失礼します…』

私は北先輩のお言葉に甘えさせていただくことにした

『・・・抹茶もめっちゃ美味しいですね！！』

『チョコバナナも美味しいですよ。是非食べてください！』

そう言って今度は私は北先輩に自身のクレープを差し出した

「・・・」

北先輩は少し黙ったあと

「じゃあ、いただかせてもらうわ。」

そう言って私のクレープを少し食べた

「美味いな。チョコの量いい感じや。」

『ですよね！！わかります！』

私は北先輩の言葉に共感した

「もうちょい危機感持った方がええんとちゃうか？」

「簡単に男と間接キスせん方がええよ。」

私は、その言葉に顔を赤らめながら

『き、気を付けます…？北先輩、本当に今日はありがとうございました！』

値段を聞こうとすると

「お金は気にせんでええよ。買い物手伝ってくれたからな。」

「俺にも少しカッコつけさせてくれへん？」

北先輩があまりにも優しい顔をして言ったので、私は首を横にふることができなかった