狐につままれた (ページ29)

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『え…？なんで…』

「勘だって言ってたで。」

『そ、そうなんですね…』

なんでだろう

今とても幸せな気分だ

「なんやろ、めっちゃ微笑ましいなあ。」

3年生の先輩達がうんうん、と頷いている

「高坂さん、家着いたで。」

話していると時間はあっという間に過ぎていった

『本当だ！ありがとうございます！！』

「まて！！北？なんでAの家知っとるんや。」

「？？？前、送っていったことがあってな。」

「そ、そうなんか…」

「意外やわ」

3人がコソコソと話している

「Aちゃん！今日はゆっくり休んでな！」

「侑達が気になる気持ちもわかるけどな…」

「ほな！また明日ー。」

私もさようなら！と言おうとした

「なあ、高坂さん。」

『え？』

「嫌がらせのこと、親御さんには相談しとったん？」

『あー…お母さん、仕事忙しくて家に帰ってこない日も少なくないんですよ。』

『そんな状態で心配をかけたくないんで。』

「・・・そうか。」

「失礼だったな。すまん。」

「北…本当にお前は…」

「？？？」

アラン先輩はため息をついた

「A、すまんな。」

『いえいえ、気にしてないですよ笑』

『赤木先輩、大耳先輩、アラン先輩、北先輩！！今日は本当にありがとうございました！！』

『とても楽しかったです！』

私がそう言うと、先輩方は笑って手を振り、歩き出した

被害にあってからは、常に私の隣には誰かがいて…

そのせいか、誰もいない家は少しずつ寂しく感じてしまう

帰ってすぐに私はベッドに倒れこんだ

寂しさを紛らすため、このまま寝てしまおうか

意識が遠のいていきそうになったその時

私のスマホが鳴った

『・・・？』

制服のポケットからスマホを取り出すと、そこに表示されていたのは中学の後輩の名前だった

私は迷うことなく電話をとった

『もしもし！？珍しいね。』

「お久しぶりです。A先輩。少し相談があるんですけど…」

後輩と同い年の1年で変な速攻をしてるらしい

『目をつぶる？？』

相方君には異常なほどのジャンプ力があって、高く飛ぶことだけを意識する

そして後輩がそのドンピシャの位置にトスするらしい

ほぼバレー初心者の相方君はボールを見ないでスパイクを打つ

『？？？ごめん、理解が追いつかないんだけど…』

後輩は、どうしたら速攻を止められないか相談したいらしい

『私マネなんだけど？』

(・・・なんか成長したね。)

久々に後輩と話したことで、私の寂しさはなくなった