狐につままれた (ページ25)

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学校に行くと、靴箱には見慣れてしまった光景が広がっている

数々の暴言がかかれた紙が普段の倍近く入っていた

プラス今日は上靴にも異変があった

『濡れてる…？』

上靴がびしょびしょに濡れていたのだ

『っ…』

わたしは泣きそうになるのを我慢して、スリッパを借りに行った

毎日のようにある嫌がらせ

どんどん悪化していっているような気がした

私のメンタルが崩れるのも時間の問題な気がする

昼休みはバレー部の皆とご飯を食べていた

この時間は前もって約束をしていたため、私は治の分も少し作ってきていた

「A…神か？」

「A！ずるいで！俺の分はないんか？」

「侑の分なんてあるわけないやろ。」

そう言い、怒っている侑を横目で見ながら、治は食べ始めた

「まじで美味いわ！！！ほんまにAの飯は美味しいなあ…」

『ありがとう…そう言ってもらえてよかった！！』

「また今度一緒に食べるときも、作ってくれると嬉しいわ！」

私は、すぐに頷いた

「そういや、Aスリッパやないか。」

「ほんまや！！」

『ああ…用事あって持ち帰ったんだけど、家に忘れてきちゃったんだよね。』

「アホじゃん。」

『角名うるさい。』

こういうことをしているのがバレー部のファンは気にくわないのだろう

『・・・』

『ごめん、これからあんまりマネの仕事できないかも。』

私は少し怖くなってしまった

「なんでや！？つまらなかったんか！？」

「侑がウザいからやないか？」

「なんやと！？治！」

『そういう感じじゃないから！！』

「じゃあどうしたの？」

『普通に今、弓道部が1年生の勧誘とかで忙しいんだよね。』

「ああ、人数少ないもんな。」

皆は納得してそこから普通に雑談を始めた

そこから数分後、

『そういえば私、弓道部の部長さんに呼ばれてるから、先戻ってるね。』

そう言って走って屋上をとびだした

「・・・・・」

私は部長のいる3年生の教室に向かっていた

(3年の教室とかまじ気まずいんだけど…怖いし。)

そう思いながら下を向いて階段を上っていると、3年生の女の先輩が下ってきた

ぶつからないように私は避けようとした

ドンッ

『っ…えっ？』

私は上っているはずだった

なぜ今私は宙に浮いて落ちていっているのだろう

落ちる直前に私は見てしまった

3年の先輩が私を突き落とし、笑っているところを

落ちていくのは思ったよりも一瞬で

私がとっさに伸ばした手は何かを掴むことなく空を切った