・ ページ8
・
｢じゃ、じゃあ一緒にケーキ食べよう！ショートケーキ好き！？｣
｢･･･は？何なん。急に･･････｣
そこまで言って、男の子は口を手で押さえた。何かを思い出すように、口を固く閉ざした男の子は、それ以降何も喋らない。返事は一向に返って来ないので、仕方なくケーキ箱を開ける。流石店長、恐らく彼氏と一緒に食べなさいという意図で、フォークがふたつも入っている。まぁ、彼氏は居ないし、目の前にいるのは小学生なんだけど。
｢さ、食べよう！ショートケーキ大丈夫？｣
｢･･･え、あ、いや、は･･･？｣
｢よっと･･･ベンチ座ろ｣
戸惑う男の子一人置いて、ケーキ箱を持ったまま、近くにあったベンチに腰かけた。男の子が口から母音を漏らしながら私を見ている。
｢ケーキ食べないの？苺おいしそうだよ｣
｢･･･いちご｣
大きくて真っ赤な苺。その単語を聞くと共に、男の子は反応した。苺好きなのかな？
けれど男の子はまだ警戒を弛めていないのか、近付こうか迷っている様子だ。そりゃそうだよね、初対面の人にケーキ食べようなんて言われても･･･。
傍から見れば私はれっきとした不審者だ。
けど何故かこの子を放っておけなかった。ひとりで、死んだ魚の目をしたこの子を。
｢･･･あー、ごめんね。私すごい怪しいよね。いきなり変なこと言ってごめん。もう6時になるから気をつけなよ｣
ケーキ箱の蓋を閉じて、ベンチから徐に立ち上がる。やっぱりこういう子の扱いは慣れていないなぁ。
公園を出ようと脚を伸ばす。服の裾が何かに引っかかる感覚がした。
｢･･･ま、待ってや｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 109人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひぐさん(プロフ) - かみぶくろさん» 有難うございます！子供 滅茶苦茶いいですよね (2021年4月2日 8時) (
レス) id: dcd65c88e0 (このIDを非表示/違反報告)
ひぐさん(プロフ) - にこにこ。さん» 有難うございます！ぼちぼち頑張っていきたいと思います･･･！ (2021年4月2日 8時) (レス) id: dcd65c88e0 (このIDを非表示/違反報告)
かみぶくろ - 子供zm…ダメだ尊死する…あっ（尊死） (2021年4月2日 1時) (レス) id: 97c794166e (このIDを非表示/違反報告)
にこにこ。 - めっちゃこの小説好きです。頑張ってください！ (2021年4月1日 15時) (レス) id: 4bb86706fa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひぐさん | 作成日時：2021年3月23日 16時
