検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:11,211 hit

ページ5




「お疲れ様でした!」
「ご苦労様です。帰り道は気を付けて下さいね」


時計の短針は5の数字を指し、辺りはほのかに林檎色に染まり始めている。アンティーク調の窓から射し込む夕焼けに顔を照らしながら、店長は微笑んで私に小さなケーキ箱を握らせた。
開けてもいいかと目で合図すると頷いてくれたので、遠慮がちに白を開いた。

中に入っていたのは、宝石みたいにきらきらと艶を出す苺が乗ったショートケーキがふたつ。
宝石の苺は白い綿にふわりと包まれている。あまりに美味しそうで、思わず涎が出そうになった。


「ありがとうございます!私これ、大好きなんですよ!」
「はい。そうかと思って今日は(、、、)これにしたんですよ。・・・ふふ、瞳が輝いていますよ」
「あまりに美味しそうでつい・・・」


恥じらいから頬を苺とお揃いにして頭を搔くと、其れは嬉しい限りです、と心底嬉しそうな笑みで喜ばれた。店長は優しくて好きだ。


ルンルン気分で行きと同じ道を通り家へ向かう。
もう真っ青な空は真っ赤に変わっているけれど、気分は断然行きより上がっている。
口ずさんでいた〈さんぽ〉の歌も、いい歳なのに気が付けば大きなボリュームで歌っていた。
直ぐに周りを見回し、誰もいないことに安堵し、胸を撫で下ろした。ふと、そこで視界に影が映る。


「・・・あれ、あの子」


錆びたジャングルジムの公園。
行きに見た生気のない男の子が、そこにいた。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
109人がお気に入り
設定タグ:wrwrd! , ヤンデレ , zm
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひぐさん(プロフ) - かみぶくろさん» 有難うございます!子供 滅茶苦茶いいですよね (2021年4月2日 8時) (レス) id: dcd65c88e0 (このIDを非表示/違反報告)
ひぐさん(プロフ) - にこにこ。さん» 有難うございます!ぼちぼち頑張っていきたいと思います・・・! (2021年4月2日 8時) (レス) id: dcd65c88e0 (このIDを非表示/違反報告)
かみぶくろ - 子供zm…ダメだ尊死する…あっ(尊死) (2021年4月2日 1時) (レス) id: 97c794166e (このIDを非表示/違反報告)
にこにこ。 - めっちゃこの小説好きです。頑張ってください! (2021年4月1日 15時) (レス) id: 4bb86706fa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ひぐさん | 作成日時:2021年3月23日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。