勿忘草 (ページ5)

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side 阿部

深澤「阿部ちゃん」

「ふっか。まだいたの？」

深澤「いちゃだめだった？わら」

「ううん。なんか話？」

深澤「そ、ごはん行かない？」

「…いいね」

そうやって連れて行ってくれたのは海鮮がおいしい俺の好きなお店。入所記念日に来たこともあったっけ。

深澤「何頼もっかな～？あ、これ阿部ちゃん食べるよね。うわっこっちもおいしそ…」

「テンション高いね」

深澤「そう？久々だもん2人だけって」

もうわかっちゃったよ俺。

ふっかがこのあと何を言うつもりか。

「辞めるとか、言うんでしょ」

深澤「おーわかってんね」

何年同期してると思ってんの。

「俺なら止めないと思った？」

深澤「ん、そうでしょ」

まだまだわかってないね、ふっかは。

「止めるよ」

止める選択肢しかないよ。

深澤「阿部ちゃんは優しいよね」

…ふっかのほうが優しいのに。

「ふっか」

深澤「もうね

続けんの、しんどい」

ねえふっか。いつからそんな追い詰められてたの？なんで相談してくれなかったの？そんな悲しそうに笑わないでよ。

深澤「阿部ちゃん、阿部ちゃんしかいないの。許してよ」

「理由は？辞めたい理由」

深澤「俺、認知症なんだって」