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#17 ページ17

時の流れは早いもので

成人してから約1年が経った。

最近の柴田は家に帰ってくることが少なくなり

1人、寂しい生活を送っている。

なぜだろう。

どうして帰ってこなくなってしまったのだろう。

連絡もすっかり途絶えてしまった。

電話を掛けたくても、

メッセージのやりとりをしたくても、

心のどこかで何かが邪魔をしている。

罪悪感に苛まれて仕方がない。

それが何なのかが分からない私は、

成人して大人になったつもりだったけど

心はまだ成長できてなかったみたいだ。

大好きな人がいない家は、恐ろしく広く感じる。

今日も味気のない1日だったな。

いつかこの辛い時期も終わるだろう。

そう考えれば、いくらか気も楽だ。

2人で使っていたダブルベッドも、

心なしか寂しそうに見えた。

布団を頭から被り、今日のこともリセットしようと

眠りにつこうとしたとき。

ブーブーと音を鳴らしてスマホが震えた。

くそぉ、今寝るところだったのに。

渋々画面を開き見てみると、

『柴田』

の文字。

柴田からの着信だ。

今まで一切の連絡も取っていなかったのに。

一気に心臓が鼓動を速める。

出ようか、出まいか。

迷って躊躇している暇はない。

やけくそになって、私は通話ボタンを押した。

無意識のうちに震えた声が柴田の耳に届いたみたいで、

“もしもし?”

今一番聞きたかった人の声が鼓膜を震わせる。

「...あの、どうしたの?」

聞いてもなかなか返事を返さない。

なんか、猛烈に嫌な予感がする。

固唾を飲んで待っていると、

私の予想は的中してしまった。

「A、突然で本当にごめん。...俺と別れてほしい」

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作者名:#Love | 作成日時:2020年10月24日 20時

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