#22 ページ22
てつやの行きたいところってどこなの？
聞いても「内緒〜」って答えてくれない。
だんだんと日が暮れてきて、真っ赤な夕日が顔を覗かせている。
車窓から景色を眺めて黄昏ていると、
て「目的地に到着しました」
え、ここって...
「海、だよね？私水着持ってきてないよ？」
て「今日は泳ぐために来たんじゃないの」
なぜか胸を張って言うてつやがちょっと面白くて。
て「降りよっか」
てつやにエスコートされて着いていく。
瞬間、辺り一面には夕日に染められて輝く海。
この時間になるとこんなにも綺麗なんだ。
すっかり心を奪われてしまっていると、
て「なあ、A」
さっきまでのてつやとは違い、真剣な表情でこちらを見つめてくる。
「...どうしたの？」
て「今はしばゆーのことあって、辛いかもしれない」
“しばゆー”
敏感になってしまっているのは、まだ好きだから。
て「笑ってるAも、泣いてるAも、怒ってるAも、照れてるAも。ずっとずっと前から好きだった」
あぁ、てつや。私のことをそんな風に思ってくれてたんだね。
て「でも、しばゆーと付き合ったから俺にはもう無理なんだなって思ってたんだよね。それでも好きを捨て切れなかった。いつもAばっか考えてて。しばゆーから別れたって聞いたとき、俺にもチャンスあるかもって」
突然てつやがひざまづき、手を差し出す。
て「まだしばゆーのこと好きでもいい。だんだんと忘れさせてあげるから。頭ん中俺でいっぱいにさせてあげるから！だから、俺と付き合ってください！」
てつやの手が震えている。
＿＿＿本気で口説きにいくから。
てつやは本気になって伝えてくれたんだ。
気付いたら差し出された手を力いっぱい握ってた。
“もっといい男見つけて幸せになって”
柴田からの言葉が脳裏に浮かぶ。
てつやとなら、きっと大丈夫。
「...はい、こちらこそお願いします！」
fin.
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作者名：#Love | 作成日時：2020年10月24日 20時
