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朝通学路からは、威勢のいい笑い声が聞こえてくる。
誰の声だ?と思い、視力の悪い俺は目を細めて前方を見てみる。
うーん、あれはどうも、としみつとAのようだ。
くそっ、朝から気分が悪い。
別に2人が嫌いとかそういうわけじゃないんだけど、あいつらの関係性。
俺は嫉妬している。
カッコ悪いことは重々承知してはいるんだけれど。
でも、好きなやつが男と楽しそうに話してたら、誰だっていい気分にはならないだろう。
あんな表情、俺には決して見せてはくれない。
そう思うと、とたんに悲しさ半分、悔しさ半分が頭の中を埋め尽くす。
そして今日、Aとはどんな顔を合わせればいいのか。
朝から難しいことばかり考えて疲れているけど、そんなことも気にならないくらい真剣に悩んでいると、いつの間にか校門をくぐっていた。
と「よっ!てつや。あれ、元気なくねえか?」
「あーてつや!おはよ〜 うーん、確かに元気ないいうには見える」
一番会いたくないんだけど。
そうとは知らず話しかけてくるこいつは、まるで夏の暑さにも負けないくらい輝くひまわりのようだ。
て「別になんでもありませーん」
おどけてみせると、「なんだよ〜。心配して損したわ」とか口々にツッコまれる。取り敢えず、いつも通りのAで安心した。
靴を履き、各々のクラスへと散らばる。といっても2人は向かう先は一緒か。
今日は、昨日の鬱憤を晴らすことを許してくれているかのような、憎いほどの晴天。
あいつらはお似合いだ。誰が見ても、お似合いだ。
くそっ。
やり場のない、何かも分からぬこの感情は、晴天の中へ消えていく。
俺が今できること、いや。やらなければいけないことは、好意という感情を表に出さず、完全に蓋をしてしまうこと他ない。
さあ、この無理難題を、俺は果たすことができるのだろうか。
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作者名:#Love | 作成日時:2020年7月3日 21時