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としみつの笑ってるところ見たらほっとした。
さっきの約束、夢なんかじゃないよね。
だとしたら、今夜が楽しみすぎる。
としみつが退院できるのも、としみつに誘ってもらえたことも、全てが嬉しい。
この曇り空でさえも、輝いて見える。
まだ鳴りやまぬ胸の高鳴りを覚えながら帰路に着いていると
て「A、ちゃん?」
後ろから遠慮がちな声が私の名前を呼んだと思ったら、
「あ、てつやか!」
て「そういや昨日、甲子園だったやん!どうだったの?結果」
早口で捲し立てるように質問してくるてつや。
てつやも、応援してくれてたよな。なんならてつやが一番親身になってくれてた気がする。
そんなてつやの期待を裏切ったような感覚に、胸が痛めつけられる。
「......負けた」
喉の奥がつっかえて、ようやく出た言葉がこれだった。
て「...そっか。Aちゃん、頑張ってたのに」
てつやって、人の気持ちに痛いほど共感してくれるから本当に優しいんだなぁっていつも思う。
「期待に応えられんくて、ごめん...」
て「大丈夫だよ!まだあと一年あるんだから、来年に期待だね」
雲の隙間から太陽の光が差し込んできた。
それと同じく、てつやの笑顔で私の心にも光が差し込んでくるような気がした。
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作者名:#Love | 作成日時:2020年7月3日 21時