拝啓 人生を変えてくれたあなたへ。

#22 ページ22

今日行かなきゃさすがにやばいよね。

朝から格闘していた悩みは「行く」という方向で解決した。

久しぶりの撮影。

昨日会ったてつやととしみつは、ようやく来たかって。

後の四人からは心配と質問攻め。

こんなに心配してくれているのに、仮病だったと知ったらこの人たちはどれほど私に幻滅するか。

しかも理由が理由。

一応社会人だし、仮病を使うのはよくない。

「みんな揃ったし、撮影始めますか」

虫さんの一声で始まった撮影。

どうしても集中できなかった。

YouTubeを一緒にやりたかったのは事実。

今でもそうだ。

でも、恋してから少し気持ちが変わってしまったかもしれない。

一緒に撮影しているとコントロールが効かないし、最高のパフォーマンスができない。

そうなってくると視聴者さんを心から楽しませることができなきなってくる。

一種のエンターテイナーとしてあるべき姿から、今の私はかなり遠ざかってしまっている。

「A、ほらちゃんと集中しりん」

「......ん、ごめん」

やめたい。

今すぐにでも投げ出したい。

仲間同士での恋愛なんてみっともない。

集中できなくなるくらいなら、いっそ諦めたほうがましだ。

って思うのに、やっぱり諦めきれない。

完全に依存してしまった。

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