拝啓人生を変えてくれたあなたへ。 (ページ17)

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#17 ページ17

近すぎて、気付けなかった。

でも気づいたときには、やっぱり時すでに遅かった。

知らぬ間に膨らんでいた気持ちは止まることを知らず、制御が効かなかった。

としみつと目が合う度にきゅんとして、

言葉を交わす度にどきどきする。

なんだか、いい大人なのに青春しているかのような不思議な気持ち。

好きなのに、怖かった。

いつかこの気持ちが本人に知られると思うと、いても立ってもいられない焦燥に駆られる。

それに恋したって実る保証はどこにもない。

ただの、片思い。

片思いほどつらいものはない。

恋すると、周りが見えなくなってしまう。

ネットに露出しているYouTuberだからこそ、視聴者さんに心配されるのも、ましてやメンバーに気を遣われるもの申し訳ない。

要するに、恋したせいで仕事に支障をきたすようではYouTuber失格ということだ。

常に全力投球でなければいけない。

今波に乗っている私たちだからこそ、チャンスを逃すわけにはいかないのだ。

「あ、ちょうどいいところにいた。A、ちょっとこれ手伝ってくれん？」

「......ごめん、無理」

「......あ。そ」

としみつ、ごめんね。

私だってこうしたいわけじゃないの。

自分勝手すぎて、大好きな人に迷惑をかける馬鹿者がどこにいる。

「......ごめん、ちょっと調子悪いから先帰らせてもらうね」

「どうしたん？大丈夫？」

「......うん、明日には良くなってると思うから」

見ると苦しくなってしまう。

「......としみつ、ごめん」

独りよがりな自分にうんざりして。

家に帰って、泣いた。