四十三話 ページ44
話を聞くに、俺は約二日は意識がなかったらしい。 なんだか前にも同じようなことがあったな??
「ところで」
「どうした?」
主治医がそう問い返ししてくれて助かる。
あのさぁ?
「ちょっとクスノキぶん殴ってきていい?」
色々な意味でプルプルと震える右手で拳を立てればそれなとばかりに二人もブンブンと首を縦にふって肯定している。
「そもそも? 絶対おれ、世界に暗殺計画立てられてるって……そうじゃなきゃここ数ヶ月でこんなに死にかけるはずないだろっっ!!」
お? 俺が気持ちをぶつけるかのように叫んだかって? なわけ。 俺一言も話してない。 いや、たった今似たようなことは軽く言おうとしたんだ?
テレビから大音量で流れてきたんだドン。 ゲフンゲフン。 いやいやいや、リアタイすぎるだろ。 1周回って笑いが込み上げてきたわ。
「はぁ……まぁなんだかなぁ。 零は兄ちゃんに手術受けて欲しいか? まぁ受けなかったらあと少しで本当に死ぬんだって……」
でも、正直の所、零だってもう立派な大人だ。 俺が関与する権利なんて無いに等しい。 それは零も然り。 零も俺に発言したり見舞いをしたりする義務はない。
色々な定義はあるけども、俺は俺の持論だがそれでも、これも大人になるって事だと俺は感じる
幼き頃の家族団欒はいつか分離して新たな家族と出会い、また団欒を作り上げていく。 友人ら上司との出会いも同じ事だと思う。 だから結局は遅かれ早かれ離れるのは必然だ。
難しい言い回しをしているように感じるが、ごく当たり前の事をそれっぽく聞こえるように考えているだけに過ぎない。
でも、それでも零が昔の俺だけじゃなくなった俺を望んでくれるのならばもう少し分離をするのは先の未来でも良いのではないかと思っている。
「はぁ? 俺が兄さんの弟として兄さんを慕ってきた僕が兄さんに手術を受けるなって思ってんの」
ちょっとまって。 どうした! 零! ちょっと間があったから色々と考え事してたけど、なんかブチギレてるし!?
「弟さんには激しく同意だ。 なにいまさら同意を求めてんだ? 手術を受けて寿命まで生きるって契約したよなぁ??」
アッあれ、約束じゃなくて契約なのな??? なにそれ??
はぁ……なんだか難しいこと考えてても疲れるだけだ。 俺はただ兄として主治医の親友としての肩書きを名乗っていられる限り生き抜いてやろうじゃんか。
「はいはい。 じゃあ俺が無事に戻ってきたらジャリジャリくんな?」
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ばってん(プロフ) - まだ読んでる途中なんですけど、安室さんってミストレで黒の組織ってわかったんじゃなかったですっけ…違ったらすみません! (12月16日 22時) (レス) @page27 id: 33b58415e3 (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - ひえ…泣いてしもた…ハッピーエンドってやっぱ良いよな…SNSの民のコメント達見れなくなったのは寂しいけども…めちゃくちゃ面白かったです! (2022年5月18日 23時) (レス) @page50 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - あと八話の「彼女を演じてくれ」という台詞は男主相手なので「彼氏」か「恋人」が正しいのではないでしょうか?
それと三十八話と三十九話のサブタイの「話」が一個多いです。
最後に質問なのですが、主治医さんは一体幾つくらいの設定なのでしょう? (2021年5月26日 7時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり - 誤字脱字の類いがちょっと多い気がするのですが…投稿前に一度読み返すなりちゃんと確認をされたらどうでしょう?(^_^;)
特に気になる部分だけ指摘させて頂きますね?
五話の最後の方の台詞の「ロックをかけます」っていうのは一体どういう意味なのでしょうか? (2021年5月26日 7時) (携帯から) (レス) id: 4f4058a2da (このIDを非表示/違反報告)
雪月花 - 完結おめでとうございます!!更新の度に楽しく読ませてもらっていました!すいません46ページの愛用車が愛用者になっております....また、作者様が新しい作品を作っても必ず読みにいくので!これからも頑張ってください!応援しております! (2021年5月18日 1時) (レス) id: 338ebc2433 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノルゼリィ | 作者ホームページ:
作成日時:2020年7月31日 21時