現実に監視されている以外は普通に零の兄貴です。「名探偵コナン」

三十六話コナンside ページ37

たまたま近くの部屋で都内の医者が集まって会議をしていたらしく、素早い対処がされ、降谷さんは無事だった。

いや、今夜を越えられればの話だが。死には至らなかったが降谷さんの身体が、回復能力が追いつけばいいけど。

改めて酸素マスクをして、栄養だったりを送る点滴を何本もしている降谷さんを見て心が傷んだ。

そういや、俺この人と初めて出会った時に頭をムカつくぐらいわしゃわしゃされてたっけか。 特に関わりは多くは無かったが、それでもいる度に疑心の反面心がホカホカと温まっていたのは事実だ。

まったくの他人なのに家族といるような、そんな感じ。 だから先日ポアロでこの人の病状があまり良くないことを知った時にはとんでもない衝撃だった。

何か病気かなとは思っていたが、ここまでだなんて予想出来なかった。 それだけあの人は周りにバレないように仮面を被り続けていたのだろう。

どうしてそんな人を殺めようと思うのか。 原点であるそこを思うと心の底から苛立ちがふつふつと湧き上がってくる。

容疑者候補だってまだ何人もいるし。 しかし東の名探偵であるオレが居るからにはどんな難題でも推理してみせる。

少なくとも主治医が犯人候補じゃないことに安心はした。 いいや逆に言えばあの人が常に降谷さんの隣にいたから今回の容疑者は今まで易易と手を出せなかったのだと考える。

「あ！ 松田刑事!!!」

ベンチに座って考え事をしていたら、元爆発処理班で今は刑事の松田さんが病院に入ってきた。 口元のケッチャップを見る限り、お昼休憩中に目暮警部にでも呼び出されたのだろう。

「またお前がいんのか……お前もほんと運わりぃなぁ」

こっちに気がついた松田刑事はそのふわふわの髪の毛をぽりぽりとかいて、こっちに気だるげに歩いてきていた。

「あ、あはは。 でも殺人事件にならなくて良かったって思うよ」
「まぁな……。 でもお前が患者を見つけなかったら今回の容疑者は殺人犯だったわけだし、俺はそいつの事を軽く見るつもりはねぇよ」

そういって松田刑事はちゃっかりと、隣に座ってきた。 おいおい、また目暮警部に怒られても知らねぇぞ。 おおかたまだ何も事件を把握もしていないだろう。

｢だから僕もできる限り、降谷さんのためにも今回の謎が解けるように祈る｣
「おいまて、ボウズ。 いや、コナン、今なんて言った」

へ？？ 今度はなに？

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