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息を吸う。
指を置く。
視線を交わす先にあるのは
人工的にリズムを刻み出す、指揮者の手。
「＿＿＿＿♩♬♪」
弾かれた弦がゆっくりと音を奏で始めると
次第に、視界がピアノに独占されていく。
それは歌が聞こえてきてからも
決して変わらない。
『泣く準備しといてください。』
『絶対、歌よりも目立ってみせる。』
『絶対、私から目を離さんといて。』
あんなに大口を叩いたからには
中途半端な演奏はできない事を、私はちゃんと分かってる。
でも
合唱を壊さずに歌よりも目立つのは、極めて難しい。
何しろ、これは“合唱祭”なんだから。
逆に言うと
だからこそ私は、この伴奏をとにかく楽しむ事にした。
A「、、ふふ、」
いつもなら抑えるしかない、心の底から溢れ出てくる笑みを
あえて垂れ流しにする、という選択。
そうするだけで
奏でる音楽が、何十倍も可憐になる。
きっと
いつもの私の音を知る先輩なら
この違いを分かってくれるはず。
そう思って
誰にも気づかれないくらい、本当に一瞬だけ
3年生が座る席の方に目を向ける。
多すぎて
短すぎて
先輩を特定する事は、正直出来なかった。
でもね
ちゃんと、感じたよ。
審査員のおじさんでも、指揮者でも、歌ってる人でもない
白と黒にまみれてる私だけに向けられた
余裕がない、それでも熱くて温和な視線が
また、私の心のネジを緩ませていくような気がした。
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Tu9mu7(プロフ) - シノさん» すごく嬉しいです。ありがとうございます！更新頑張ります！ (2020年9月23日 19時) (
レス) id: 50122a3aa2 (このIDを非表示/違反報告)
シノ(プロフ) - 初めまして！話の展開が素敵すぎて読む手が止まりませんでした!これからも更新楽しみにしています！ (2020年9月22日 21時) (レス) id: 3e7adef831 (このIDを非表示/違反報告)
Tu9mu7(プロフ) - みなさん» 楽しみにしてくださってありがとうございます。これからも頑張ります！ (2020年8月30日 19時) (レス) id: 50122a3aa2 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - いつも楽しく読んでいます！更新楽しみにしてます！ (2020年8月30日 18時) (レス) id: 5575efce91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Tsumu | 作成日時：2020年5月5日 23時
