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[ゴーーールっ!!]
[2年B組の西川遥輝が大逆転の1位でゴールしましたっ!!]
[青団に得点が大きく加算されます!]
誰だか知らない放送委員の実況で
現実をやっと飲み込む私の脳みそ。
「やば!あの人めっちゃ早い!」
「あれだけ差開いとったのに、、」
「す、すご、」
立ち上がってしまった私に代わって
紐を結んでくれてた隣のクラスメイトも
先輩の圧巻の逆転劇には度肝を抜かれたようで
次が私たちの出番だというのに
緊張する気も起きなかった。
私はというと
控えめに言って、放心状態。
クラスの輪の中心で未だに盛り上がる先輩を見ながら
脳裏に焼き付いて離れない、ラストの直線でくしゃっと弾けた彼の笑顔。
心臓どころじゃない。
全身の至る所のそれぞれが
ガシッと掴まれ、グシャッと潰されたような
そんな感覚に陥った。
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A「、、、ふぅ、」
戻ってきた応援席は
さっきまでいたトラックよりも涼しかった。
自分の火照った身体を冷やすように
イスに座って、大きく深呼吸。
ふと思い出すのは
やっぱり、さっきの先輩の事で。
かっこよかった。
なんて考えながらぽーっとしていると
私の視界に突然飛び込んできた人影。
「やっほ。」
A「っ、、、西川先輩、」
なんや、えらい反応薄いやん。
そう言いながら更に私の顔を覗き込もうとするのは
今さっきまで、私の朦朧とする記憶の中にいた先輩。
心の準備が出来ていなかったせいか
驚きと鼓動の急な高鳴りで、私の脳はパンク寸前。
その穴を塞げぬまま、見上げた先輩は
遥輝「、、、急にそんな見つめんといて、(笑)」
A「え、、あ、ごめんなさい。」
遥輝「ははっ、、なんか素直やな、今日。」
A「そうですか?、、、せやけど、」
「先輩、かっこよかった。」
まさしく“かっこいい”がよく似合う男だった。
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Tu9mu7(プロフ) - シノさん» すごく嬉しいです。ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年9月23日 19時) (レス) id: 50122a3aa2 (このIDを非表示/違反報告)
シノ(プロフ) - 初めまして!話の展開が素敵すぎて読む手が止まりませんでした!これからも更新楽しみにしています! (2020年9月22日 21時) (レス) id: 3e7adef831 (このIDを非表示/違反報告)
Tu9mu7(プロフ) - みなさん» 楽しみにしてくださってありがとうございます。これからも頑張ります! (2020年8月30日 19時) (レス) id: 50122a3aa2 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - いつも楽しく読んでいます!更新楽しみにしてます! (2020年8月30日 18時) (レス) id: 5575efce91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2020年5月5日 23時