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「、、、パンッ!」



「「「ウワァァァっ!!」」」









ピストルの音と同時に



会場全体が、一気に湧き上がる。









頑張れー!

とか



いけーーっ!

とか





いかにも体育祭な音たちで溢れかえっている。









A「、、、うるさ、」









誰にも聞こえないくらい小さな声で



そっと呟く私。









もちろん、誰も周りになんて居ないけど。









 









 









私が出る競技は、クラスリレーと4人5脚。









いかにも、私っぽい控えめな競技。









A「、、あ、やば。招集かかっとる。」









急いで向かった待機所には



もう既に、一緒に出るクラスメイトが揃ってた。









 





遅い遅い!



右足出して!



こっちは左足!









口々にそう言うから混乱しそうになったけど



なんとか持ち直して準備に入る。









そこそこ練習してきた証である



茶色い砂汚れの付いた紐を手に取った





その時。









 









「遥輝いけーーーっ!!」









突然、隣に居た上級生が叫んだ。









その人の声が飛んだ方向には



言葉通り、西川先輩の姿があった。









A「先輩、」

「、、どないしたん?」

A「あ、いや、、、」









再び紐に目を落とそうとしても





その紐を結ぶための神経が、上手くまとまらなかった。









 





私が身に付けるハチマキと同じ色の



リレーのバトンを握り締め





ちょうど先輩は、コーナーを回っているところだった。









下から2番目だったはずの順位は



いつの間にか上から2番目まで急上昇していて





どんどん勢いを増す先輩の



顔も背中も腕も足も



全部から目が離せなくて









気づけば私の膝は伸び、視界は上がっていた。









 









「、、え、Aさん?」

「ちょっ、なにして、」









そんな言葉はもう





高ぶる鼓動に呆気なくかき消されていた。









 









A「、、、いけっ、、遥輝先輩、っ!」









 









赤らんでるはずの頬が





流れる汗と、会場の熱気と、先輩の一瞬の笑みのせいで









その赤が持つ意味が、分からなくなった。









 









 











29→←27  ~遥輝side~



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Tu9mu7(プロフ) - シノさん» すごく嬉しいです。ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年9月23日 19時) (レス) id: 50122a3aa2 (このIDを非表示/違反報告)
シノ(プロフ) - 初めまして!話の展開が素敵すぎて読む手が止まりませんでした!これからも更新楽しみにしています! (2020年9月22日 21時) (レス) id: 3e7adef831 (このIDを非表示/違反報告)
Tu9mu7(プロフ) - みなさん» 楽しみにしてくださってありがとうございます。これからも頑張ります! (2020年8月30日 19時) (レス) id: 50122a3aa2 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - いつも楽しく読んでいます!更新楽しみにしてます! (2020年8月30日 18時) (レス) id: 5575efce91 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Tsumu | 作成日時:2020年5月5日 23時

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