私の“声”が届くまで

34 ページ35

・
・
・









A「、、、人を疑うのと、嘘をつくのが、得意で、、」

勇人「・・・」

A「声を出すのが、、苦手、で、、、」



もう、涙は出ない。





言葉が詰まるのは、



誰かに話すことに対して、まだ怯えているから。





A「たぶん、、私は、もう、、あの人からは、、(ブルッ)」





体が震える。



手も、足も、瞳も、声も。





A「逃げる、なんて、、でき、っ」

勇人「(ポスッ)、、、」

A「、、勇人、さん？」

勇人「我慢なんて、俺の前ではいらん言葉や。」

A「・・・」

勇人「ほんまは、そんなこと思ってへんのやろ？」

A「(ドキン)、、、」





こんなに心臓の音が聞こえるってことは、



図星だった、ってことなのだろう。








鎖が、音を立てながら少しずつ解けていくような気がした。





A「、、、ほんとは、、逃げたい、っ、」

勇人「、、(ギュッ)」

A「できない、なんて、、ほんとは思いたくないっ、」





ずっと、誰かに聞いてほしかった。





私だけじゃ抱えきれない、この気持ちを。









誰も、聞いてくれなかった。



そうじゃなくて、








誰にも話そうとしなかった。








父が怖いなんて、誰にも言いたくなかった。





誰かに話した後の父が、怖くてたまらなかった。






　






私はずっと、





A「、、、誰かに、助けて、って、、言いたかった、っ、」





声を聞いてほしかったんだ。









　









・
・
・

35→←33

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す