私の“声”が届くまで

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勇人「・・・Aちゃんは、野球よく見てはるん？」

A「、、あっ、はい。子供の頃から大好きな唯一の趣味、って感じです。」



急な名前呼びで、少し反応が遅れてしまった。




自分の名前が、自分の名前じゃないように感じてしまったから。



勇人「ふーん。じゃあ、東京ドームは来たことあるん？」

A「実は、それがまだなくて、、」

勇人「えっ、そーなん？」



そう。




ずーっと巨人ファンなのに、東京ドームに見に行ったことがない。







子供の頃は、東京都近辺に住んでいなかった、ということもあるが、




大人になって東京に移り住んでからも、私は行ったことがない。









それには、理由がある。






ちゃんとしてない、理由が。









ちゃんとしてないからには、


まだ会ったばかりの勇人さんにそんな理由が言えるはずはなかった。





A「、仕事が、忙しくて、、、」



嘘をつくことには、もう慣れた。






ごめんなさい。


嘘をつきなれてる女で。





勇人「仕事か、、、」



仕事だと聞いて、なぜか考え込む勇人さん。







その口が開いたのは、およそ３０秒後だった。



勇人「・・・次の日曜日。」

A「、、え？」








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