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A「・・・そういえば、卓也くんって野球選手だったんだね。」
何気ない感じで言ってみた。
卓也「・・・ごめん。隠してたつもりやなかばい。」
すごく申し訳なさそうに言うから、なんかいたたまれなくなって、つい私は焦った。
A「そんな、責めてるわけじゃないから。なんか、その、すごい!って感じで、、(笑)」
卓也「フッ!、、A、ありがとう。」
笑ってくれたから、なんとか伝わったみたい、、、
卓也「Aなら、そう言ってくれると思ってたけん。」
A「・・・」
柔らかい表情だったけど、その目は心を撃ち抜くかのように鋭かった。
卓也「昨日の今日やけど、こんな不安定な俺でもいいと?」
心を、掴まれた。
それと同時に、私は現在の時刻が目に付いた。
A「・・・あっ、卓也くん、時間、、、」
卓也「時間、、、あっ!やばい、、い、いってきますっ、!」
さっきの表情とは裏腹に、焦りを隠せないまま荷物を急いで手にとって玄関に向かった。
今、そんな卓也くんに言うべきか迷ったけど、
こういう時こそ、素直に言おう、って思った。
今までの私だったら、こんなこと思わなかったと思う。
A「・・・卓也くんっ、」
卓也「(くる)」
ドアノブを掴みながら振り返った卓也くん。
できるだけ手短に言おう、と心がけた。
A「・・・私は、卓也くんがいい、、、だから、その、、い、行ってらっしゃいっ、!」
卓也「っ、、(ボソッ)ストレートすぎやけん、、、」
聞こえてるよ。
ストレートすぎでごめん。
卓也くんの前だと、いつも語彙力がなくなっちゃって、、、
なんて心の中で言い訳をしていると、卓也くんは言った。
卓也「A、ありがと。行ってきます。(にこ)」
A「、、言い逃げは、ずるい、、、」
私がストレートすぎるんだったら、
卓也くんは天然でズルすぎる。
だって、もう既にいろいろあって、顔が真っ赤っかだもん。
朝から心拍数がこんなに高くなったのは、初めてだから。
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にゃあ - 面白かったです!続編も読まさせていただきます。 (2020年2月10日 23時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2019年9月15日 22時