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昨夜から降り続いていた雨は、
起きると 雪 に変わっていた。
A「行ってきまーす。・・・寒っ、」
「ガチャっ」
誠司「・・・寒っ。」
A「あ、誠司。」
私とおんなじことを言ってると思うと、隣の家から誠司が出てきていた。
寒くて手をポケット入れるんだったら、手袋すればいいのに。
細かいことが、いちいち気にかかる。
A「手袋ないん?雪で滑ったら骨折するで。」
誠司「そんな柔やないわ(笑)。てか、お前は首真っ赤になっとるけど。」
A「やって、寒いんやもん。」
誠司「マフラー、使えばええやん。」
A「それが、、」
そう。 マフラーを付けていく、予定だった。
なのに、朝になって探してみるとどこにもない。
母に聞いたところ、ゴミ箱入っとったから捨てたよ、なんて言われて。
分かってたなら出してくれれば良かったのに、って思ったけど、
寝ぼけて捨てたのは私だろうし、そんな文句言えなかった。
A「・・・というわけです、、」
誠司「・・・あ、ちょっとそこで待っとれ。」
A「え?」
誠司「ええもんがある。」
そう言って誠司は家の中に戻った。
雪が降りしきる中で待つこと5分。
ガタガタ、という物音が聞こえなくなって、それと同時に誠司が出てきた。
その手には、チェックの何かが握られてた。
誠司「・・・ん。これ、Aにやる。(スッ)」
A「えっ、これ、マフラー?」
握られてたのは、チェック柄のマフラーだった。
てか、私にくれるってどういうこと?
別に、誕生日でも何でもないのに。
A「何でこれ、、ってか、誠司が使うやつやないん?」
誠司「何でもええやろ。俺は、もうマフラー使わんし。・・・早よ行かな、間に合わんくなるで!」
A「え、ちょっと、それ答えになってないやん!」
そんなこともお構いなしに、スタスタと歩いていく誠司。
その背中を追いかけながら、くれたマフラーを赤くなった首に巻く。
あったかかった。
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にゃあ - 面白かったです! (2020年2月11日 22時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2019年9月8日 17時