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実況『、、打ったーっ!陽岱鋼も繋ぎましたっ!」
手には中継が流れるスマホ、目の前では臨場感溢れる打席。
なんて贅沢な野球観戦なのだろうか。
現在、3対3の同点。
ラッキーセブンの攻撃。
ツーアウトの崖っぷちながらも、私が今ハマっている陽岱鋼が岡本に続いて出塁。
ツーアウト、ランナー1塁2塁の勝ち越しのチャンス。
続くバッターは、
実況『さあ、ラッキーセブンの勝ち越しのチャンスで、バッターは小林誠司っ、』
私が今までに見に行った試合の中で、1番の盛り上がり。
小林コールが私の心にズシズシと響く。
きっと、今打席に立っている誠司も感じているんだろう。
ネクストバッターサークルに居るとき、
「・・・打とう。」
こう、誠司の口が動いた気がした。
私が見に行く試合は、とことん成績が悪い誠司。
でも、
今日の表情は、少し違っていた。
どこか、遠くを見ているようで、その瞳には光が確かに映っていた。
A「・・・打てるよ、、誠司なら、っ、」
手のシワとシワを重ね合わせ、指を組み、私はただ、
白い球が遠くまで飛んでいくことを願った。
実況『、、さあ、小林との勝負。1球目っ、、』
「(パシっ)、、ボール!」
実況『おっと、変化球が大きく抜けました。』
相手も力が入っていることに変わりはなかった。
打てる。
なんとなくそう思った、その時。
実況『変化球が外れた後の球は、一体何を選ぶのかっ、、』
「(カキーン)」
A「あっ、、、」
「ウワァァァァッ!!!」
実況『打った打球はライトの前へっ!2塁ランナーがホームに突っ込んでくるっ、!』
A「帰ってきて、、っ!」
実況『これは競争になるが、どうかっ、!』
「(ザザッ)、、セーフっ!」
A「・・・やった、、やった、やったよ、、やったよ誠司っ、!」
実況『セーフっ!ジャイアンツに貴重な勝ち越し点っ!小林誠司のバットから生まれましたっ!』
「ウワァァァァァァァっ!!!!!」
さっきよりもものすごい歓声と、
ファンとベンチの盛り上がり方と、
私の方に視線を向けて、小さくガッツポーズをしたことが、
誠司の1本のヒットが、すごく大きなヒットだったことを表していた。
ほっと胸をなで下ろしたと同時に、
誠司に惚れ直したのは、言うまでもない。
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にゃあ - 面白かったです! (2020年2月11日 22時) (レス) id: 6c1a3f5f49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Tsumu | 作成日時:2019年9月8日 17時